脱原発に舵を切るべき時ではないか

2011-07-19 04:06:09 | 雑感
福島県の放射能に汚染された牛肉問題はさらに広がりをもたらしています。最初南相馬市など福島原発に近い地域限定的な問題だと思われていました。しかし今回汚染牛肉問題は福島県郡山市・須賀川市などの中通り、会津坂下町などの会津地方、新潟県長岡市にまで拡大しています。いずれも農地に積んであった稲わらから基準値を大幅に上回る放射能が検出されたそうです。

この牛肉汚染問題はさらに広がりを見せそうです。思わぬ形で食料の放射能汚染の実態が明らかになりました。牛肉は全国で販売され、すでに消費されてしまっているものも多いと思われます。これまで国は放射能汚染された食べ物は流通されていないと述べていました。しかし牛については体表面の放射能を測定しただけで、牛肉そのものの測定は行なわれていませんでした。検査の杜撰さが指摘されています。放射能に汚染された稲わらは福島だけでなく宮城県などでも見つかっているそうです。

福島原発事故によって多くの町や村などで避難が余儀なくされています。周辺の市町村も放射能によって汚染され、その中で生活することを強いられています。多くの国土が放射能で汚染されてしまいました。そして今度は食料の汚染が進んでいることが明らかになりました。

私はこれまで脱原発に舵を切ることに対して慎重でした。経団連の言うところの経済への影響、火力発電に切り替えたときのコスト増などから考えた時、脱原発は景気の足を引っ張ることになるのではないかと考えたからでした。しかしここに来て情勢は大きく変わったと思います。原発事故で多くの国土と食料が汚染されていることが明らかになりました。

私は何よりも福島の子供たちのことが心配です。今後放射能汚染により甲状腺がんなど健康への被害が出ることが懸念されています。<国土の汚染→食料の汚染→子供たちの被曝→健康被害>という形で汚染が広がって行くことを恐れています。放射能汚染のつけを子供たちにまわしてはなりません。

私が脱原発に踏み切らざるを得ないもう一つの理由は、原発推進側の人々の倫理観の欠如と言う問題です。彼らは「原発をやめれば電気が足りなくなる」「コストアップにより国際競争力が失われる」と称してなりふり構わず原発再稼動への取組みを強めています。

その典型的な事象が九州電力の玄海原発再稼動をめぐる「やらせメール」事件であり、経済産業省のたった7人の説明会の開催です。九州電力も経済産業省にも福島原発事故に対する真摯な反省というものが感じられません。何が何でも原発を動かすということを最優先で、安全性への取組みや国民への説明責任を果たしたとはとうてい思えません。

しかも九州電力からは「やらせメール」に対する反省の言葉が聞こえてきません。「やらせメール」などは日常茶飯事のことだったからです。今回についても国会で質問されたのでやむなく認めたものです。「会社の常識は社会の非常識」と言いますが、九州電力は「やらせメール」が問題であったとの認識は持っていません。「部下がかってにやったこと」としてトカゲの尻尾きりで事態を収拾しようとしています。

こうした人々はこれからも自分たちに都合悪いことに対しては口をぬぐい、もし指摘されれば「国民の混乱を恐れて公表しなかった」とその責任を国民に押し付けるのでしょう。福島原発事故に対する真摯な反省など期待すべきもありません。

それでは脱原発でやっていけるのかと問われれば門外漢の私には反論すべき何物も持ち合わせていません。しかし、少なくとも東御市民に責任を持つ議員の一員として、これからの国のエネルギー政策の方向性についてその議論に参加する責任はあると思うのです。

日めくりカレンダー