「あるあしかの話」「パパのお嫁さん」(1977年・講談社/ちばてつや漫画文庫傑作短編集)
地元の先輩から頂いた文庫版の2冊。ちばてつやと言えば、僕らの世代だと「あしたのジョー」「ハリスの旋風」「おれは鉄兵」ですね。あ、「のたり松太郎」もある。”愛に満ち溢れた家族”や”熱い友情で結ばれた仲間”を半劇画調のタッチで、その温かさを描きつつ、社会問題などに一石を投じる事がテーマになっていました。
タイトル作品である「パパのお嫁さん」は、売れない作曲家とその幼い一人娘の話。あるきっかけで一躍有名な作曲家になった父と、支援する上流社会の女性。2人が惹かれあっていくのを応援する娘・・・けども、少しずつ心に隙間風が吹いて父との間に距離が出来始める・・・。
最終的にはまた親子二人で暮らし続けることになるのだが、2人を取り巻く下町の友人知人たちとの関係が温かいなぁ。
「あるあしかの話」。切なすぎる話です。 大海原で生きていたアシカが漁船の網に引っかかり、動物園に連れて来られて、ホッキョクグマが棲んでいたプールに放たれてしまう。初めは自分が泳ぐ場所が狭すぎて、泳いではぶつかり、その怒りを来園者にぶつけるが如く水をバシャバシャとかける・・・が、慣れて来ると八の字に泳ぎ、うまく泳いだり水面から飛び出してまた潜るなど”技”を披露すると餌をたくさんもらえる。来園者の人気者になりまんざらでもないそんな日々の中、ふと我に返り「なんで俺はこんなとこにいるんだ・・・」とその怒りと戸惑いと焦燥感から再び暴れる。心優しき老飼育員は「悪いことをしたなぁ。」と動物園に内緒で海に返した。海水の中で八の字に泳ぎ、跳んだり潜ったりする仕種は、自由になったその喜びを礼と共に飼育員に伝えているように見えた・・・が、実は狭いプールで泳ぐことに体が慣れ過ぎてしまい、真っすぐに泳ぐこともできずエサを自ら捕ることもできなくなり、数日後には放された場所で浮いていた・・・。 人間のエゴを痛烈に批判した作品です。
巻末に掲載されている当時のマンガのタイトル。懐かしすぎて涙腺が緩みます(笑)