「ドラマ界・映画界に大きな大きな穴がぽっかり空いてしまったなぁ・・・。」
そう感じました。だって、主役だろうが準主役だろうが脇役だろうがワンポイントだろうが、常に何かの作品に出ていましたからね。新番組でも再放送でも、テレビをつけると「あ、西田敏行だ・・・」。映画を見に行っても「あ、西田敏行だ・・・」。
よく、「○○という俳優は、何を演じても○○その人だね」と言う事があります。どんな役を演じても、どんな扮装やメークをしても、演じるその本人にしか見えないという事なのですが(場合によっては、それはいい意味でもあるのですが)、西田敏行は違いました。 王様なら王様、釣り人なら釣り人、カメラマンならカメラマン、刑事、ヤクザ、医者、侍、殿様、政治家、教師、探偵・・・とにかくその役そのものを演じ、そう見えていました。「すげえなぁ・・・」と思わされることが何度もある大先輩俳優でした。
1990年頃、所用でNHKに行き、大河ドラマの収録スタジオ前に置いてあるモニター画面の前を、たまたま通りかかったので見ていたら、スッと隣に来て同じようにモニターを覗き込んだのが西田さんでした。短髪のかつらをつけ、浴衣姿・・・「翔ぶが如く」の西郷隆盛でした。隣に立ったわけですから、駆け出しの私は当然直立不動になって「お疲れ様です!」と挨拶をすると、「どうも!」とニコッと返してくれました。
初めて西田さんの名前をインプットしたのは、私が中学3年生の時に放送された日本テレビ「西遊記」(1978年)の”猪八戒”だったと思います。それ以前もしくは西遊記と並行して出演していたテレビ朝日の刑事ドラマ「特捜最前線」は全く見ていませんでしたから・・・。
「ガンダーラ」(ゴダイゴ/1978年・SATRIL〈コロムビア〉)
あれ?「ガンダーラ」が”「西遊記主題曲」”って書いてある・・・。「モンキーマジック」じゃないんだ!?しかもB面は「セレブレイション」。
暴れん坊な兄貴分の孫悟空(堺正章)に、時にはたてついたり、時にはすり寄る猪八戒&沙悟浄(岸部シロー)のコンビが面白かったなぁ。そして優しさと厳しさを兼ね備えた三蔵法師(夏目雅子)の存在。楽しいドラマだったなぁ。
「鳥の詩」(杉田かおる/1981年・ラジオシティ〈ビクター〉)
「池中玄太80キロ」(1980年・日本テレビ)も毎週欠かさず見ていましたね。親子の絆、家族への慈しみ、仕事仲間との友情、動物(鳥)に対する優しさ・・・人としての不可欠な要素がすべて織り込まれていたともいえる楽しく優しいドラマでした。 だからこそ西田さんが歌った「もしもピアノが弾けたなら」は、多くの国民に受け入れられたのだと思います。 でも私はドラマ挿入歌である「鳥の詩」を買ってしまったんです(笑)。母親代わりでもある長女役を演じていた杉田さんの、その真摯な姿・役柄に惹かれていたもので・・・。
「特捜最前線」(ファウスト・チリアーノ/1977年・ポリドール)
前述した刑事ドラマ「特捜最前線」(テレビ朝日・1977年~1987年)の挿入歌である「私だけの十字架」を収録。歌っているのは親日派のイタリア人歌手のチリアーノ。なぜかその歌は聞き覚えがあるのに、作品未見というのは刑事ドラマ好きとしては猛省するべき対象のドラマです。西田さんは第1話から約2年間出演。家庭持ちの人情派刑事として活躍していたとか。ただ、後半はスケジュールの都合で欠場することが多かったらしいのですが、もしかしたら「西遊記」出演の影響かもしれませんね。
右下:「帰ってきたウルトラマン」(1971年・エルムレコード)
70年代当時、様々なレコード会社より、同一番組、同一タイトルのレコードが発売されていました。本家本元もあれば、今でいうカバーバージョンもありましたが、このエルムレコードから発売されたシングル盤のB面の「MATチームのうた」を歌っているのが西田さんなのです。盤面にはしっかりと名前も明記されています。劇団青年座に入所した頃の発売という事は、お小遣い稼ぎの一環として、歌の上手な西田さんが劇団を通じて依頼されたのかもしれませんね(あくまでも私個人の推測ですが・・・)。
西田敏行さん、永遠なれ!
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