試写で見逃してしまい
すごく見たかった映画に
行ってまいりました~。
「ANPO」73点★★★
日米安保条約が結ばれた1960年を主軸に
その時代をアーティストがどう表現したかを
作品と本人の証言で綴った
ドキュメンタリーです。
これが期待以上におもしろくて
引き込まれました。
横尾忠則、串田和美、朝倉摂、東松照明などなど
早々たるメンバーのインタビューを
ダラダラ流さず
小気味よく刻んでつないであって
非常に見やすい。
なにより政治家や評論家でなく
「アート」にフォーカスしたのが慧眼ですね。
絵や写真は本当に純粋で雄弁だから
「反戦」や「国への怒り」などの主張も
ぜんぜん説教臭くなく
スッと素直に心に入ってきます。
それにしても
安保反対運動に
こんなにも日本人が
エネルギーを持って決起したという事実に
改めて驚きました。
それなのに民意はまったく反映されず
学生たちは「デモが終わったら就職だ」となって
当時の政府によってそのエネルギーが
うまいこと高度経済成長へと誘導されたんだと
映画のなかで半藤一利さんが
おっしゃってましたが
へえ~~へええ。
いまのこの閉塞感や「あきらめ世代」は
戦後、というより
安保闘争を出発点にしてたのか、と
無知だった近代日本の成り立ちが
立ち上がってきた感じがして
すごーく勉強になりました。
見るべき映画と思います。
上映後に監督と朝倉摂さん、富沢幸男さん夫妻との
トークショーがありまして
これも非常に貴重でした。
監督のリンダ・ホークランドさんは
日本で生まれ育ったアメリカ人で
日本語ペラッペラの
粋でいなせなおねいさんという感じ。
海外でも知られてない
戦争や基地問題と向き合った「アート」を
広く紹介したい、というのが映画のきっかけだとか。
成功してると思います。
日米を知る彼女から
「アメリカ人は悲しいかな、その99%がいまだに
“自分たちがもっとも優れており間違っていない”的思想で生きている」
と断言されると
めちゃくちゃ説得力があった。
残り1%のマイノリティには
やっぱりアーティストが多いですよねえ。
ほかに朝倉摂さんが当時
生まれたばかりの赤ん坊をほっぽって
学生運動にのめり込んでたという話にも
ウケましたハイ。
ボーダーシャツに赤ふちメガネの
摂さん、カッコよかったなぁ。
★9/18から渋谷アップリンクで公開中。ほか全国順次公開。
「ANPO」公式サイト