この映画は、ホントに判定がムズカシイ。
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「アクト・オブ・キリング」60点★★★
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全世界50以上の映画賞を受賞した
超・話題のドキュメンタリー。
1965年、インドネシアで
スカルノ大統領(当時)の親衛隊の一部が起こした
クーデター未遂事件。
事態収拾にあたったスハルト(のちの大統領)は
事件の背景にいたのは共産党だとして、
1965年~66年の間に
インドネシア各地で「お前は共産党員だろう!」と
むやみに市民を引っ張っては虐殺をした。
虐殺を実行したのは
いわゆる街のチンピラだったギャングたち。
彼らはいまも罪に問われるどころか
政治の要職についたり、街の顔役として、堂々と生きている。
この映画は、その虐殺を行った
アンワルという男やその仲間たちに
「当時、あなたが行った虐殺をもう一度、カメラの前で演じてみませんか?」という
前代未聞のドキュメンタリーなのだ。
フツーはあり得ないシチュエーションですが
なんと
アンワルたちは意気揚々と
「映画?やるやる」「かっこよく撮ってくれ」と
もうノリノリで、当時を再現するんです。
いったい、どういうこと?と思いますが、
その理由は映画のなかでわかってきます。
なにより、ワシこの事件自体、不勉強で知らなかったんで、
最初かなり前のめりで見ました。
んで、まず1回目。
冒頭、魚のオブジェから女たちが踊り出てくるシーン
その色使いとシュールさにあぜんとし
がぜん興味沸くんですが
これがですね、
肝心のドキュメンタリー部分の語り口が猛烈に単調で
すごくしんどかった。
アンワルが自分がやった虐殺を演じると同時に
殺される側も演じる場面があって
それをしながら
「やられた側の気持ちがわかった」とか、
わずかな懺悔の思いを浮かべるシーンがあるんですが
まあ
嘘くさく白々しいなあと(苦笑)。
監督も、そういうツッコミをしてるし(笑)
ラスト、アンワルのあの場面も
芝居なのか、厄払いなの――?と
どうも疑ってしまった。
でも2回見たら、
これはやっぱりすごい映画なのかもと思えてきました。
アンワルの懺悔も、ラストにこみ上げてくる嗚咽も
もしかしたら、日常にはありえないものを、
カメラが確かにとらえているのかもしれない、と感じた。
正直、ムズカシイ。
でも、見て、判断する価値はある、と言える映画です。
★4/12(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「アクト・オブ・キリング」公式サイト