まさにこれは
ミヒャエル・ハネケ監督の総決算!


「ハッピーエンド」79点★★★★




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13歳の少女エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)は

母が薬物中毒で入院したことで
母と離婚した父(マチュー・カソヴィッツ)を頼って
父の実家にやってくる。
父の家は、カレーに住むブルジョワジーで



エヴは
一大で財を築いた祖父(ジャン=ルイ・トランティニャン)と
その娘(イザベル・ユペール)、彼女の息子、
そして父の若い妻と幼い息子と
瀟洒な邸宅で暮らすことになる。



が、エヴはそこで
幸せそうな一家の“ひずみ”に気づいていく――。

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ミヒャエル・ハネケ監督の新作。

まさに
これまでのさまざまなハネケ要素が詰まった
“総決算”



ハネケ監督、「今回は“不快”な映画を作るときだと思った」と
コメントされているようですが

まさに!その思惑は、バッチリ機能しています。

スマホのREC画面から始まり、
ハムスターに薬を盛る恐るべき少女、工事現場での崩落、
裕福な一族の、一見してわからないゆがみ――
全てがひたひたと、静かに、
優美さすら漂わせながら、崩壊へと進んでゆく。

一家の話だけでなく、その裏には
SNS社会の不気味、他者への無関心、移民問題など
76歳の巨匠がみる“現代社会”が
よーく研がれたペティナイフのような冷たさで描かれていて
ゾクッとします。

監督は
日本で起きた
「母親にタリウムを飲ませて毒殺しようとした少女」が
その顛末をブログに公開していた事件記事を読み、
関心を寄せていたそう。

さらに祖父役(ジャン=ルイ・トランティニャン)は
監督の前作「愛、アムール」(12年)の、あの夫役ですからね。
ハムスターで実験し、母親にも……?という少女が
祖父と思わぬところで秘密と心境を共有するくだりには
ぐわん

それに
イザベル・ユペールが面倒な息子を
公然の目の前で、静かにさせる、あのシーン!

その怖さはやはり天下一品!

★3/3(土)から角川シネマ有楽町ほか全国順次公開。
「ハッピーエンド」公式サイト