ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

きみの鳥はうたえる

2018-08-28 23:15:39 | か行

 

驚いた!外国映画みたいなのだ。

 

「きみの鳥はうたえる」75点★★★★

 

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北海道・函館郊外の書店で働く“僕”(柄本佑)は、

失業中の静雄(染谷将太)とアパートをシェアして暮らしている。

 

“僕”は同じ書店で働く佐知子(石橋静河)が

少し気になっている。

 

あるとき、佐知子はふとしたことで

“僕”と関係を持ち、静雄とも意気投合する。

 

“僕”と静雄、佐知子は毎晩のようにクラブに出かけ、遊ぶようになる。

こんな夏が、ずっとずっと続けばいい――

そう思っていた3人だったが――。

 

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「海炭市叙景」(10年)「そこのみにて光輝く」(14年)

「オーバー・フェンス」(16年)に続く

佐藤泰志原作の第4弾。

現代の函館を舞台に、社会に“未だ、漂う”若者たちの日常を描いている。

 

それにしても驚いた!

外国の映画のようなのだ。

 

アパートで共同生活し、朝までクラブで踊り、触れ合い、笑う、転げ、また笑う。

登場する3人の若者たちは、等身大に自然で

函館の街も風景も、主人公がバイトするさびれた本屋も、

地方都市そのままで、なにも美化されてないのに、

なんか、カッコいい。

 

ホン・サンス映画か、ヌーヴェルヴァーグ映画か?って感じで

舞台も、パリか香港か、外国のように見える。

ワシ、この最初のビジュアルイメージが好きよ。

 

それだけ佐藤泰志氏の小説世界が、いまだみずみずしい、っていう驚きでもあるんですが

 

なにより柄本佑氏が、いままでにないカッコよさで驚いた!

ヒゲのせい? いや、どこまでもラフで不遜な雰囲気が、信じられないほど(失礼!笑)似合ってました。

 

「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」(17年)で強烈な印象を残した石橋静河氏の

存在感、そのたたずまいも大きい。

 

全体、ラフだけど決して雑ではなく、

みずみずしいけど、丁寧で熟がある。

 

正直、熟練監督の作品かと思って観ていたんですが

なんと、1984年生まれの三宅唱監督作だった!

 

これぞ、新しい波。

日本で久々に“若い感性”に出合った、と感じました。

 

★9/1(土)から新宿武蔵野館、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。※8/25(土)から函館シネマアイリスにて先行公開中。

 

「きみの鳥はうたえる」公式サイト

コメント
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