「いや〜な感じ」がもう!(笑)
「ミッドサマー」70点★★★★
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アメリカに暮らす大学生ダニー(フローレンス・ピュー)は
あるとき、大きな悲劇に見舞われる。
彼氏(ジャック・レイナー)は献身的にダニーを支えるが
微妙な共依存にある二人の関係は
あまり良好ではなかった。
そんなとき、ダニーは彼氏が
交換留学生ペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)の故郷である
北欧スウェーデンの夏至(ミッドサマー)祝祭に行くことを知る。
人類学や民間伝承を卒論のテーマにする計画でもあるらしいが
ダニーはそんな彼らにくっついていくことに。
スウェーデンに到着したダニーたちは
ペレが育った小さな共同体へと招かれる。
そこは美しい景色と、花々の咲き乱れる
楽園のような場所だったが――?!
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「ヘレディタリー/継承」のアリ・アスター監督による
晴天”フェスティバル”スリラー。
白昼、美しい青空のもとで起こる悪夢・・・?!っていうだけで
「なんだなんだ」と興味を引きますよねえ。
うまいなあと、思う。
まず序盤、アメリカに暮らす
ヒロイン・ダニーに降りかかる悲劇が、不穏さをもって描かれる。
で、ダニーは、彼氏とその友人と
北欧のあるコミューンの夏至祭に行くことに。
そこは白夜の明るい光に照らされ、花々は咲き乱れる楽園で
人々は笑顔で、優しく、清らか。
そんななかで、惨劇が起こっていくんですね。
「ヘレディタリー」もそうだったけど
アリ監督は既存の裏をかく斬新さと、
意外なほどにベーシックな古典のミックスが持ち味なんだと思う。
今回は、実際にあった民間風習や伝承を相当に研究したそうで
晴天のもとでの惨劇、という状況は斬新。
そしてそこでは、おおよそ「ああ、こうなるだろうなあ」というスリラーが
ゆるやか~に展開される。
逃げればいいのに!的な状況ながら
ダニーをはじめ友人たちは抗うことができず、
呑まれるまま。
ただ、そこには序盤で描かれるダニーの心の傷が
たしかに関係していて、その伏線は強かった。
相手の不安や悲しみに共鳴し、そこに入り込むのが
よくも悪くもカルトですからねえ。
善意や清潔さの裏にある不気味をこれでもか、と書き込み
壮大な舞台装置をもって「いや〜な感じ」をビルドした、
監督の情熱は相当だと思う。
どんな人なんだろう?と思ったら
まあ、びっくり!ということで
「AERA」で取材させていただいた記事が
AERAdotにもアップされていますので
ぜひご一読ください~!
そして、主演のフローレンス・ピューは要チェック!
非常に印象的でした。
★2/21(金)から全国で公開。