儚げなユペールの輪郭が夕日に溶けていく――
いいシーンだなあ!
「ポルトガル、夏の終わり」71点★★★★
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ポルトガルの世界遺産の町・シントラ。
美しい緑に囲まれたホテルで
フランキー(イザベル・ユペール)は誰もいないプールに飛び込んだ。
世界的に知られた女優である彼女は
この町に休暇にやってきた。
が、実はフランキーはこの地に
夫や息子に、義理の娘やその子、
さらに元夫や友人まで呼び寄せていた。
いったい、なんのために――?
事情を知らない彼らは
一様にそれぞれ問題を抱え、ゴタゴタを繰り広げるのだが――?!
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ポルトガルはシントラの美しい風景のなか、
有名女優のもと
いろいろ複雑そうで、まあワケありそうな家族が集まり――?!というお話。
アイラ・サックス。
この映画、なかなかよかったですが
イザベル・ユペールも監督に注目していて、一緒に仕事をしたかったらしい。
で、監督はこの話を、彼女のために書き下ろしたのだそうです。
わーお。
ただね最初は
なかなか話が見えず、目的がわからず、じれったく
美しい街を、すてき衣装の登場人物たちが漂う
観光ムービー・・・・・・と言えなくもない。
しかし、
すべてくつがえすような、終盤に加点!したくなるのだ。
いつにもまして線が細いユペールの
その印象の理由がわかり、
それまで、すべてをコントロールしようとしていた彼女が、
「いや、それは、違うのか」と悟る。
そして、そのはかなげな姿が、
夕日に消え入りそうに、溶けていく。
こんなふうに撮ってもらえれば、
女優冥利につきるだろうなぁ――!って思うのですよ。
いつも、どこかに漂う、もの悲しさがあって
ポルトガルという街の持つ郷愁と哀愁に、
うまく寄り添って作られているなあと思いました。
AERA「いま観るシネマ」で
イザベル・ユペール氏にインタビューさせていただいています!(スカイプ取材です)
近年、ますます存在感と美しさを特盛りにしながら
何を演じても「その人」っぽい、その秘密を
伺ってちゃってます!
ぜひ、映画とあわせてご一読くださいませ!
★近日公開。
※公開情報は公式サイト、劇場情報をチェックしてください。
よきタイミングでご鑑賞いただけることを願っています。