阪本順治監督。しびれた!(笑)
「一度も撃ってません」79点★★★★
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夜の街で、怪しく目を光らせる
トレンチコートに中折れ帽の男(石橋蓮司)。
紫煙たなびく地下のバーで
旧友(岸部一徳、桃井かおり)らと夜な夜な酒を交わし、情報交換をする彼は
御年74歳。伝説のヒットマン――だ。
が、実は「一度も撃ってない」。
いったい、彼の正体は――?!
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「半世界」(19年)も素晴らしかった
阪本順治監督の新作。
「大鹿村騒動記」(11年)を彷彿とさせる
おもしろさでした。
期待以上にムード満点のハードボイルドで
大人たちの宵&遊び、といった洒脱さがたまらない。
伝説のヒットマンなのに、
実は「一度も撃ってません」な主人公。
そのシチュエーションだけで、笑いの導火線――!って感じですがw
主人公・石橋蓮司氏が
想像を超えて、おかしいんです(笑)
ヒットマンといいつつ、その正体は
まあ一介のミステリー作家なわけですが
まず、彼のなんとも几帳面な生活感が、最高w
妻が出かけたあとに、洗濯物を干すとき、
下着のまわりをしっかりタオルで囲う、その細かさにしびれた!(笑)
(そして妻役・大楠道代さんがものすごくよい!)
さらに次々と登場する達者なキャストたちの妙。
学生運動時代からの友人役、岸部一徳氏に桃井かおり氏。
実生活でも同時代を生きた「同志」であろう彼らが
煙が薫るバーで醸し出す
あうんの呼吸と、転がる会話。
終わらない「宵」の感じが、本当に楽しげでうらやましい。
悠々と愉しむオトナたちの一方で、
いまいち影の薄い、少し下の世代の編集者(佐藤浩市)の
存在の巧みさ。
そして、さらに下の世代で、酒もタバコもNO!で
「働き方改革」世代の編集者(寛一郎=佐藤浩市さんの息子さんですよ!)が
「現代の狭さ」を描写する。
笑いのいっぽうで、ハードボイルド部分を支えるのは
妻夫木聡、江口洋介、柄本明に柄本佑、
渋川清彦、豊川悦司――の美味しすぎる布陣。
と、実に楽しい映画なのです。
なにより石橋氏と、その仲間たちを観ながら思うのは、
この歳にしてやっぱり
「こんなオトナになりたい!」ってこと。
アラ70の彼らは、決して
「昔はよかった・・・・・・」なんて言わない。
いまだって、いつだって「良き時代を生きりゃいいじゃん」と
言ってるんだと思うんです。
本当にステキです。
今週発売の「週刊朝日」で桃井かおりさんにインタビューさせていただいてます。
お目にかかるのは、ほぼ8年ぶり!
wikiにもある
桃井かおりのデビュー作は、あの田原総一朗が監督した”. 週刊朝日 2012年10月5日号 (2012年10月5日)
の取材のときで、
実に3時間超の、忘れない取材でした。
当時の記事も憶えていてくださって嬉しかったなぁ・・・
そして驚くほどに
変わらない、いやますます美しく、愉しく、優しくなった桃井さん
今回もたくさんお話くださって、感激です!
ぜひ映画と併せてご一読くださいませ~。
★近日公開。
※公開情報は公式サイト、劇場情報をチェックしてください。
よきタイミングでご鑑賞いただけることを願っています。