ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブラックバード 家族が家族であるうちに

2021-06-12 22:32:56 | は行

ケイト・ウィンスレット、ミア・ワシコウスカはじめ、

俳優力の妙を存分に楽しめます。

 

「ブラックバード 家族が家族であるうちに」71点★★★★

 

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ある週末。

ポール(サム・ニール)と妻リリー(スーザン・サランドン)が暮らす瀟洒な海辺の家に

娘たちが集まってくる。

 

四角四面な長女(ケイト・ウィンスレット)と

彼女の夫(レイン・ウィルソン)、

そして二人の15歳の息子(アンソン・ブーン)。

 

長女とは正反対で、気ままな次女アナ(ミア・ワシコウスカ)は

恋人クリス(ベックス・テイラー=クラウス)と

久々に顔を見せる。

 

さらに、リリーの親友リズ(リンゼイ・ダンカン)も参加して

賑やかな集いがはじまる。

 

だが、これは単なる週末の一家の集いではない。

 

リリーのある決意のもと、彼らは集められたのだ。

 

彼女の決意をどう受け止めるのか、

家族の想いは散り散りに乱れ、

そして家族の秘密が明らかになることに――?!

 

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しょっぱな、

超クールでオシャレな海辺の邸宅とインテリアに

やや鼻白んでしまったんですが

あ、そうね、家主の職業が医者なら仕方ないわね、と納得いたしました(笑)

 

しかも

「ノッティングヒルの恋人」(99年)ロジャー・ミッシェル監督ですから

センスいいのは、仕方あるまい。

 

で、そんな家に暮らすシニア夫妻のもとに集まってきたのは

夫婦の娘たちと、その家族。

 

四角四面で融通が利かなそうな

長女(ケイト・ウィンスレット)とその夫、

姉とはまったく違うタイプで

ちょっと不安定そうな次女(ミア・ワシコウスカ)と、そのガールフレンド。

 

この会合は、単なる週末の集いではなく

母リリー(スーザン・サランドン)がある病に冒され、

自分の最期を自分で決め

「その前に、みんなに会いたい」という

実はシビアな会なんですね。

 

その事情は最初から明かされるし

そのうえで、家族は

王道にラグジュアリーに、週末のひとときを過ごそうとする。

 

昼間からワイン片手にだべり、海岸を散歩し、

リリーの望みで、

クリスマスのごちそうを作り、それを祝ったり。

 

それらはすべて、彼女との「最期のとき」のためだと

全員がわかっているのだけれど

 

しかし、そこで姉妹の考えの違いとか、

夫婦の問題とか

いろいろが勃発していく――という展開。

 

母の病気や決意はそれはそれで重く大きいのですが

全然、別なところで事を起こしそうな

凸凹姉妹にハラハラさせられるという(笑)

 

シビアな状況に

長女夫婦のドタバタが入る加減とか

ややビミョーに感じるところもあれど

 

まあ全員が芸達者な役者たちなので

さすがの演技力で

家族アンサンブルの妙を楽しめるし、

こうした問題を、この感覚で描き、示すことが

目的だったのかな、とも思う。

 

スーザン・サランドンの決意とその方法もけっこうリアルで

「あ、そうやるんだ」と

この手に肯定的なワシは、思わず調べてしまった。

 

――という映画なのですが

それにしても、いま思うのは

「自分の最期を自分で選ぶ」話が、すごく多いな、ってこと。

 

 

公開中の

「やすらぎの森」もそうだし

「海辺の家族たち」にも印象的なそのくだりがあったし、

 

日本の「椿の庭」もそう。

 

公開待たれる

「スーパーノヴァ」(7/1公開)もそうだしね。

 

これまでも、たしかに描かれてはきたけど

いま、多い。

なんでしょうね。考えちゃいますね。

 

★6/11(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。

「ブラックバード 家族が家族であるうちに」公式サイト

コメント
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