ぐいぐい引き込まれ、最後には落涙。
ヘルムート・ニュートン、かっけー・・・・・・。
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「ヘルムート・ニュートンと12人の女たち」76点★★★★
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この名前を、聞いたことある人は多いと思います。
1970年代、80年代にかけて
『ヴォーグ』を始めとするファッション誌で活躍した
伝説のフォトグラファー。
で、本作は
彼へのインタビューと、彼にまつわる12人の女性の証言をまとめたドキュメンタリー。
彼の写真を知らずとも引き込まれること必須な
よく出来た映画でした。
ヘルムート・ニュートンの写真はググれば、すぐに出てくるけど
ワニに半分喰われた裸の女性とか、
イザベラ・ロッセリーニの首を絞めかけているようなデヴィッド・リンチの写真とか
とにかく、パキッと硬質で、危険で妖しい
独特の美学に溢れている。
で、この映画も猛々しい音楽とともにはじまり
「なんにもしゃべることなんかないよ~」的なご本人が登場。
あら、やっぱり不遜で尊大なお方なの?と思いきや
次第にその「人物」が明かされていくんです。
しかし彼の写真は
いまみても強烈なインパクトで
内容も「いまなら炎上ものだよね・・・」ってほどに振り切れてる。
女性をワニに食べさせる――くらいはまだしも(いや、まだしもじゃないか)
モデルの脚を金属のピンで留めて、杖をつかせたり(やばい)
馬の鞍を背負わせた女性をベッドで四つん這いにさせたり(やばい)
しかもそれがファッション写真として
雑誌に載ってたりしたわけですから(そこがカッコイイんだけど!)
実際、当時も「女性蔑視!」「人種差別!」「ポルノまがいだ!」とか
散々に叩かれたらしい。
なぜ彼はそうした写真を撮ってきたのか?
それを
彼にまつわる女性たちが解説してくれるんです。
多く被写体になってきたグレイス・ジョーンズが言うように、
確かに変態チックだけど(笑)
彼の写真は決して下品ではない。
彼は背の高いシャープな女性を好み、強い女性を撮った。
それは「男社会に屈しない、強い女性像」の表現でもあったんだ、とか。
特にイザベラ・ロッセリーニと
シャーロット・ランプリングの分析は鋭すぎて酔いしれたw
話を聞いてみると
彼の写真が、また別の意味を持って見えてもくるんです。
さらに後半には
ユーモアに溢れ、ひょうきんな写真家の素顔が現れ、
(グレイス・ジョーンズがする、ある打ち明け話は爆笑!)
出自やつらい過去なども明らかになっていく。
そして運命の妻ジューンとのおしどり夫婦ぶり!
そのラストには胸がしめつけられます。
「炎上? 上等! オレは自分の撮りたいものを撮るんだ!」――
そんなアーティストの哲学と魂、
いまの世を、ズキュンと撃ってくるじゃありませんか。
★12/11(金)からBunkamura ル・シネマ、新宿ピカデリーほかで公開。
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