ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

メアリー&マックス

2011-04-21 20:37:35 | ま行

これはちょっと
特異なクレイアニメーションですよ。


「メアリー&マックス」74点★★★★



オーストラリアに住む
8歳の少女メアリー。

メガネにそばかす、おでこにはしみ、
夢想家な彼女は
ありていに言うとブス子ちゃんで
友達がいない。


あるときメアリーは
電話帳を無作為に指差して
その相手と文通しようと思いつく。

抽出されたのは
アメリカに住む44歳の男性マックス。


彼は人との関わりが難しい
アスペルガー症候群だった。


孤独なもの同士、
二人はお互い自分のことを
包み隠さず手紙に書き


文通は、何年も何年も続いていくが――。



まず冒頭、
メアリーがマックスへの手紙に
自己紹介文を書くんですが

「私はメアリーです。好きな色は茶色です」


ちゃ、茶色?(笑)8歳の少女が?

もうそこからしてツボっていうか(笑)



「社会で生きにくい人」っていう題材は
よくあるけれど

この映画には
まず間違いなく作り手本人が
ガチで「生きにくい人」なんだろうなという
本物感がありました。



主人公たちの心理面も軽いタッチながら
相当深くまで吐露されるし


実際、アスペルガー症候群が
アニメになったのって初めてじゃないか?


しかもそれを
クレイアニメで
描いちゃうっていうのがすごいですよ。


この話は
アダム・エリオット監督の実体験で

マックスのモデルは
実際に長年文通してた相手なんだそうです。


さらに監督は遺伝により
筋肉の収縮で体の一部が震えてしまう
難病を患っているそうで


その震える線やタッチを生かした
独特の造型が
不思議に魅力的な
クレイアニメーションを生み出しているんですね。


そして、そんな監督だからこそ
「生きにくい」人々への眼差しが
決して甘くなくビターすぎるほどでもあるんだと
ふかーく納得。

そしてそれゆえに
そこに生まれる一筋の希望や喜びが
リアルに感じられるんだと
また納得、でした。


いまの世の中を生きにくくない人となんて
友達になりたくないやと
番長は思うんで。


多くの人に、響くのではないでしょうか。


★4/23から新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋で公開。ほか全国順次公開。

「メアリー&マックス」公式サイト

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