これまた究極のイヤミスだなあ!(好き。笑)
「ペトラは静かに対峙する」75点★★★★
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スペイン、カタルーニャ。
高名な彫刻家ジャウメ(ジョアン・ボテイ)の邸宅に
美しき画家ペトラ(バルバラ・レニー)がやってくる。
ジャウメと創作をする、というペトラは邸宅に泊まり
ジャウメの妻や息子と親交を深めていく。
が、実はペトラの真の目的は
ジャウメが自分の父親かどうかを確かめることだった。
しかし、周囲の人々の話を聞くうちに
ジャウメが邪悪で冷酷な人物であることがわかってくる。
そんななか、ジャウメ家の家政婦が自殺をする。
え?なぜ?――
困惑するペトラは
ジャウメの深い罠に巻き込まれていく――。
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いや~久々にしびれましたよ。
究極のイヤミス!(笑)でも引き込まれるんだよね・・・・・・。
まず
第2章から始まり、3章、そして1章、と
章をバラバラし、時系列を遡っていく手法に驚かされた。
章が飛ぶので一瞬、「あれ?寝てた?」って焦りました。
(笑。いや、今回は寝てませんでしたよ!)
その後も、時系列がバラバラなことで
ある残酷な結果を知りつつ
それが起こる過程を後から見る・・・・・・、という感じになっていて
これがおもしろい。
バラすとまったくつまらないので
ぜひ、劇場で堪能していただきたい!
しかし、おもしろい――って言っていいんですかね
中身は相当に王道なエグい悲劇でもあり、
運命の皮肉であるんですよね。
言ってみれば
創造主であり、かつ破壊神を気取るかのような、
鬼畜な彫刻家ジャウメが
たわむれに人の生や死、運命を翻弄する、という内容で。
それでもゲスに終わらず
ギリシャ悲劇のような重みを持つのは、
映画を盛り上げる音楽の妙か、
ドア越しや部屋の外から中へ、また逆へ、と
登場人物の視点とは関係なく動く第3の目、なようなカメラのせいか。
はたまた
すべてをじっと見つめて、静かに対峙する
美しき女神のようなヒロインの横顔のせいかもしれません。
監督は1970年生まれ(タメ!w)の
ハイメ・ロサレス氏。
高尚のなかにある、この毒っぷり。
なんか、話が合いそうな気がします(笑)
ちなみに
ジャウメを演じたジョアン・ボデイ氏は、化学・農業学のエンジニアで
まったくの素人俳優なんだそう。
それにして、この存在感――怖っ!
★6/29(土)から新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。
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