ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ペトラは静かに対峙する

2019-06-30 00:49:37 | は行

これまた究極のイヤミスだなあ!(好き。笑)

 

「ペトラは静かに対峙する」75点★★★★

 

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スペイン、カタルーニャ。

高名な彫刻家ジャウメ(ジョアン・ボテイ)の邸宅に

美しき画家ペトラ(バルバラ・レニー)がやってくる。

 

ジャウメと創作をする、というペトラは邸宅に泊まり

ジャウメの妻や息子と親交を深めていく。

 

が、実はペトラの真の目的は

ジャウメが自分の父親かどうかを確かめることだった。

 

しかし、周囲の人々の話を聞くうちに

ジャウメが邪悪で冷酷な人物であることがわかってくる。

 

そんななか、ジャウメ家の家政婦が自殺をする。

え?なぜ?――

 

困惑するペトラは

ジャウメの深い罠に巻き込まれていく――。

 

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いや~久々にしびれましたよ。

究極のイヤミス!(笑)でも引き込まれるんだよね・・・・・・。

 

まず

第2章から始まり、3章、そして1章、と

章をバラバラし、時系列を遡っていく手法に驚かされた。

 

章が飛ぶので一瞬、「あれ?寝てた?」って焦りました。

(笑。いや、今回は寝てませんでしたよ!

 

その後も、時系列がバラバラなことで

ある残酷な結果を知りつつ

それが起こる過程を後から見る・・・・・・、という感じになっていて

これがおもしろい。

 

バラすとまったくつまらないので

ぜひ、劇場で堪能していただきたい!

 

しかし、おもしろい――って言っていいんですかね

中身は相当に王道なエグい悲劇でもあり、

運命の皮肉であるんですよね。

 

 

言ってみれば

創造主であり、かつ破壊神を気取るかのような、

鬼畜な彫刻家ジャウメが

たわむれに人の生や死、運命を翻弄する、という内容で。

 

それでもゲスに終わらず

ギリシャ悲劇のような重みを持つのは、

映画を盛り上げる音楽の妙か、

ドア越しや部屋の外から中へ、また逆へ、と

登場人物の視点とは関係なく動く第3の目、なようなカメラのせいか。

 

はたまた

すべてをじっと見つめて、静かに対峙する

美しき女神のようなヒロインの横顔のせいかもしれません。

 

監督は1970年生まれ(タメ!w)の

ハイメ・ロサレス氏。

高尚のなかにある、この毒っぷり。

なんか、話が合いそうな気がします(笑)

 

ちなみに

ジャウメを演じたジョアン・ボデイ氏は、化学・農業学のエンジニアで

まったくの素人俳優なんだそう。

それにして、この存在感――怖っ!

 

★6/29(土)から新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

「ペトラは静かに対峙する」公式サイト


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