これは観なきゃダメだ!
「新聞記者」80点★★★★
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現代の日本。
東都新聞の社会部記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに
「医療系大学の新設」に関する極秘文書が送られてくる。
内部のリークなのか?
吉岡は調査を始める。
そのころ
内閣情報調査室(内調)に勤務するエリート官僚・杉原(松坂桃李)は
日々、パソコンに向かっていた。
内調の仕事は主に
現政権に「都合の悪い人物」のスキャンダルをマスコミに流したり、
ネットでアンチコメントを流したりすること。
「すべては政権安定のため」という参事官(田中哲司)に疑問を感じつつも
杉原は粛々と仕事をこなしていた。
そんななか、杉原の尊敬する上司・神崎(高橋和也)が投身自殺を図る。
いったい、なにがあったのか――?
極秘文書の件で、神崎に迫っていた吉岡もその自殺に衝撃を受ける。
そして吉岡、杉原、
異なる立場の二人の線が、交差する――。
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やっと日本にも、こうした映画ができた!
東京新聞・望月衣塑子記者の『新聞記者』(角川新書)に触発された作品。
内容はフィクションですが
直近な事件を想起させるリアルさがとてつもなく
そこに正面から挑んだ主演二人の熱量と、製作陣の覚悟に打れました。
例えば政府に都合の悪いことを言った人間に
都合よくスキャンダルが出てきて、マスコミがそれを扇情的にかき立てたり。
勇気を振り絞った女性の告発が、葬られたり。
「なにか、変だ」「おかしいんじゃない?」と思う日本のいまの状況が
こんなふうに「操作」されていてもおかしくない、と
思わせる怖さ。
その恐怖に支配されず、
地道な下調べと取材、そしてツイッターで
強大な権力に挑もうとする記者・吉岡の姿はあまりに非力で、
エンタメ要素としては、か弱いといえるかもしれない。
ど派手なスリルや、わかりやすい情報合戦があるわけじゃないしね。
でも、この強烈な重苦しさと緊張感、
ハラハラはなんだ?
そしてラスト、松坂桃李氏の、抜け殻のような表情のものすごさ。
でも、このエンディングこそが、
終わらない戦いのゴングになっている。
そう感じました。
併せてぜひ、望月衣塑子さんの『新聞記者』(角川新書)を。
おもしろいのでおすすめですよ。
そして
来週7/2(火)発売の『週刊朝日』で
主演のシム・ウンギョンさん×松坂桃李さんの対談取材をさせていただきました!
お二人のこの映画にかけた覚悟、ニュースの見方がどう変わったかなど
たっぷりお話を伺っております。
しかも
インタビューはすべて日本語。
シムさんの日本語力に感嘆!
★6/28(金)から全国で公開。
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