ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

COLD WAR あの歌、2つの心

2019-06-30 01:26:53 | か行

「イーダ」(14年)監督の新作っす。

 

「COLD WAR あの歌、2つの心」70点★★★★

 

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1949年、ポーランド。

ピアニストのヴィクトル(トマシュ・コット)は

国の命で、民族音楽を歌い踊る少年少女たちを集め

国立の舞踊団を立ち上げることになる。

 

ヴィクトルはオーディションにやってきた

ある少女に目を奪われる。

彼女の名はズーラ(ヨアンナ・クリーク)。

いろいろと問題のある娘だと耳打ちされるが

その輝きと才能は群を抜いていた。

 

そして1951年。

舞踏団に選抜され、センターを務めるズーラと

ヴィクトルは激しい恋に墜ちていた。

 

だが、西側の音楽を好むヴィクトルは

政府に目を付けられてしまう。

 

パリへの亡命を決意したヴィクトルは

ズーラと「一緒に行こう」と約束するのだが――?!

 

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ポーランド出身、

「イーダ」のパヴェウ・パヴリコフスキ監督の新作です。

 

モノクロの完璧な構図、

情感に溢れているのに、語り口はぶつ切り(笑)という

不思議な魅力は変わらずです。

 

両親に捧げられた物語で、

両親がモチーフになったようだけど、実際の話ではないそうですね。

1949年のポーランドから始まり、

国を隔て、くっつき離れては、愛の再燃を繰り返す男女を描いている。

 

「好きなんだけど、一緒にはいられない」

アンビバレントな、特に女性の想いにめっさ共感するんですが(笑)

とにかく映った瞬間に

彼女がヒロインだとわかる、主演女優ヨアンナ・クーリクが素晴らしい。

「イーダ」の歌手役、そして「夜明けの祈り」(16年)にも出演してた。

 

決して愛想なく、しかし強い目力、そのオーラ。

舞踊団のセンターに立つ様子が前田敦子氏に重なっちゃうんですよ。

そして民族音楽主体の音楽がまた素晴らしい!

 

「魂のゆくえ」(19年)

ポール・シュレイダー監督が

パヴェウ監督との出会いで「撮らねば!」と奮起したそうで

人を、心を動かすなにかを「持ってる」監督であり映画だと思います。

 

★6/28(金)からヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ほか順次公開。

「COLD WAR あの歌、2つの心」公式サイト


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