こんなにこの人を詳しく知るなんて、複雑な気分ですよ(苦笑)
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「パンケーキを毒見する」72点★★★★
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「新聞記者」(19年)、「i ー新聞記者ドキュメントー」(19年)
などを手がけた制作会社スターサンズが
菅義偉首相の人物像に迫るドキュメンタリー。
といっても、しょっぱなから
菅氏側の関係者にことごとく取材を拒否られた、という状況から
映画はスタートし
企画の困難さを思います。
それでも
古館寛治さんの軽妙なナレーションにのって
ノンフィクション『菅義偉の正体』を上梓したジャーナリストの森功氏や
ジャーナリストの鮫島浩氏らが、
菅氏の人物像を解析していく。
法政大学の上西充子教授による
トホホな国会質疑の映像解析がわかりやすくておもしろく
コントかよ!とツッコミつつ、
即、笑えねえ!と、うすら寒くなる。
さらに
江田憲司氏や石破茂氏らも登場し
アニメーションや任侠映画まがいのシーンも入れ込まれ
いやー、よくわかりました
菅首相という人が。
小川淳也氏を別として、
これほど政治家について、知ったことはなかったと思う。
支持か不支持か、賛成とか反対とか
とりあえずおいといて
ここまで自分を知ってもらえるなんて
ハッキリいって、嬉しいと思いますよ(笑)
しかもできれば、知りたくなかったのに(苦笑)
それでも観たほうがいい、と思えるのは
みんな
いまの状況、やっぱり「なにかおかしい」と思ってますよね。
だからこそ、こういう映画が作られるんだと思う。
だから、とりあえず観た方がいい。
で、映画ではまず
菅氏がどういう経緯を経て
政治家になったのか、が描かれる。
秋田のイチゴ農家に生まれ、高校卒業後に上京し
工場務めを経て
法政大学へ入学。
苦労人、というイメージで売ってたけど
実は実家の農家ってブランド苺をヒットさせた
けっこう裕福な農家だった、とか(そうなん?!知らなかった・・・)
そこからどうやって政治の道に入ったのか
政治の場でも意外と強気で、勝負師な面がある、とか
いろんな「へえ」が明かされていく。
個人的には
スクープ連発の「しんぶん赤旗」の編集部内部と、
その調査報道をもとに国会で質問を繰り出す、共産党の小池晃氏の連携が
大変に興味深かった。
映画としては
関係者のインタビューは一般的で
戯画化されたアニメーションも、わかりやすいけど
壺振りシーンや外国人モデルを使った読書シーンなどには
やや遊びすぎ?という感もなくはない。
でも、
クソ真面目な政治ドキュメンタリーでは
惹きつけられない、という趣旨もよくわかるし
なにより、知ってほしいのは
「なぜ、日本が、こんな状況になったのか?」なんですよね。
近現代史研究家・辻田真佐憲氏が言う
「ジャーナリズムの批判機能が損なわれた」指摘はそのとおりと思うし、
かつ、
いまの若い世代が
「批判することを、攻撃と考えて、好まない」ということが
ものすごく根深い問題だとわかった。
ワシもここ数年、
政治やジャーナリズムだけでなく
映画評論やエンタメ記事についても
まったく同じことを感じてた。
その感覚で
「野党は批判ばっかりしているから、やだ」と映ってしまうのかと。
でも、批判ってイコール悪口や攻撃じゃない。
当たり前とされていることをときに疑って、自分の意見を持ち
責任をもって、それを提示するのは
すごーく大変なこと。
そのうえで
相手と対話し、ときに議論し
結果、もしかしたら意見を変えたっていいんだもん。
でも、批判という行為をしなくなると
人は考えなくなる。
どうでもいいや、となって
誰かにコントロールされていても
おとなしく従ってしまう。
それでいいのか?と
ラストの羊のアニメーションは悲しく刺さります。
いいかげん、羊でいいわけない。
立ち上がらねば、いまよりもっと悪くなる――
なので、とりあえず
この映画、見ましょう!ww
★7/30(金)から全国で公開
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