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コミカルに始まりつつ
大事な重みが残る作品。
「家へ帰ろう」70点★★★★
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アルゼンチンに住む88歳のアブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)は
長年、仕立て屋をしてきた。
子どもたちや孫に囲まれ、幸せそうな彼だが
実は明日から老人ホームに入ることになっていた。
その夜、アブラハムは1着のスーツを持って
家を抜け出す。
向かうはポーランド。
70年以上合っていない親友に、スーツを渡す目的だ。
だが、彼の行く手には困難が待ち受けていた。
彼はパリからドイツを通らずに、ポーランドに行きたいと言い張り――?!
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出だしはコミカルな家族喜劇に思わせて
いやいや歴史に立ち返り、重厚なものが残る作品でした。
冒頭、食えない孫とやり合う頑固じいさんのやりとりにプッとするんですよ。
そして明日はじいさん、老人ホームに入居――なのに
なんと、夜中に逃亡!
行き先はアルゼンチンからポーランド・・・・・・と
このへんで映画の事情とテーマがわかってくる。
主人公アブラハムはドイツの土地を踏むことを拒み、
ドイツ語の会話を聴いただけでパニックのようになるんですよ。
その傷の痛み、
歴史の重みに心が固まる。
それでも端々に茶目っ気とユーモア、色気があって
まあ、行く先々で必ず美女に助けられる展開にニヤリともする。
1969年生まれの監督の
祖父の歴史がベースにあるそう。
過去が人に負わせる傷の深さを思わずにいられません。
★12/22(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
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