
「ぐるりのこと。」から7年かあ。

「恋人たち」72点★★★★




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高速道路の橋梁点検の仕事をしている
アツシ(篠原篤)は
3年前に、ある事件で妻を亡くした。

弁当屋でパートをする瞳子(成嶋瞳子)は
姑と夫に囲まれ、空虚な日々を送っている。

エリート弁護士の四ノ宮(池田良)は
学生時代からの親友の態度が、
微妙に変化していることに気づく。

3人のやるせない日々の

その先には、なにがあるのか――。
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「ハッシュ!」「ぐるりのこと。」の橋口亮輔監督、
7年ぶりの長編。

美男美女は出てこない。

彼らの暮らしも、状況も苦しい。

その状況が劇的に好転することなんてなく
どうにもならない。

やるせない。

だからこそ、心に響く。
これが現実だ、と。

「ぐるりのこと。」もそうだったけど
橋口監督の映画は
苦しんだ経験のある人間に
むちゃくちゃ刺さるんですよねー。

登場人物たちの
のたうちまわるほどの痛みや悲しみ

もがきやうめき


すべて、その生身の肉体から出てると
それも、監督の体を通じて、出ているんじゃないかと

リアルに感じられるのが
橋口作品の特徴だと思います。

今回刺さったのは
「本当に助けてくれる人は誰か」ということ。


特に奥さんを亡くして苦しむ
アツシのエピソードがキタ。

彼が頼りにしている
リリー・フランキー演じる先輩の
その「うわべだけ」っぷりと言ったら

ま~あ笑っちゃうほどリアルで(笑)

でも、アツシは思ってもみなかった人に
支えられるんですね。


自分の経験が、まったく同じでなくても
絶望や失望のなかで見える光って
本当にこんなものなんだよ

グッときました。

ゲイの弁護士のキャラクターは
ちょっと中途半端かなとも思ったけど
主演の3人はいずれも
橋口監督のワークショップ出身。

特にアツシ役と瞳子役の二人は
ほとんどアマチュアだったそう。


……リアルっす。

「恋人たち」というタイトルも
考えさせて、いいなあ。

★11/14(土)からテアトル新宿ほか全国で公開。
「恋人たち」公式サイト
皮肉なタイトル!
でも
感動できてよかった!
橋口監督は
痛みをよく知っている方なんだと思います。
信頼できますね。
何て皮肉な題名だろう!
アツシの場合、妻は通り魔に殺されている。
瞳子は満たされぬ生活で出会った胡散臭い奴との不倫関係。
四ノ宮はゲイのパートナーに捨てられる。
劇中、唯一の仲の良いカップルは、あのバカップルのみじゃないか。
それでも感じられる希望は「青い空」か...。
具体的にどう良かったのかはっきり説明できないのだが、感動した。