ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

光のノスタルジア/真珠のボタン

2015-10-09 23:13:32 | は行

2本を一緒にご紹介。

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「光のノスタルジア」66点★★★

「真珠のボタン」69点★★★☆


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1941年チリ生まれのドキュメンタリー作家で
かのワイズマン監督にも絶賛されている

パトリシオ・グスマン監督の作品です。

2作品を一挙公開ということで2本紹介いたします。
まず
「光のノスタルジア」(90分)。

チリの砂漠は天文観測にうってつけの条件が揃っているそうで
世界中の天文学者が集まってくるホットスポットなんだそうです。

そこに集まった天文学者たちへのインタビューなどから
話は宇宙へと飛び、

さらに
かつてのピノチェト独裁政権下で
殺された何万もの人々の骨を
砂漠で探し続ける遺族の女性たちの話に移っていく。

ものすごい映像美……というのとはちと違うんですが
ハッとさせる魅力があります。

ロバート・キャパのドキュメンタリー「メキシカン・スーツケース」でも
遺骨を探す女性たちの話を見たなあ、と思い出し、

そして砂漠にいる天文学者たちも
彼女らに目を向け、
「過去の声を聞く」彼女たちを
何万光年も前のまたたきを追う、自分たち天文学者と同じだ、という。

そこに「ハッ!」と目がひらきました。


ただ、映画としては
「真珠のボタン」(82分)のほうが、おもしろかった。


「光の~」が砂漠のイメージならば
こちらは“水”。

パタゴニアの名のもとになった
「足でか族こと“パタゴン”」と呼ばれた
先住インディアンたちの悲劇の歴史を追っていくもの。

単純に映像における
湿り気がありがたかったりもして(笑)。

身体に絵を描く先住民族と宇宙のつながりなども
興味深かった。

まあ、先に「光の~」を見たので
単に監督独特のリズムに慣れたのかもしれません(笑)


★10/10(土)から岩波ホールほか全国順次公開。

「光のノスタルジア」/「真珠のボタン」公式サイト

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