ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ワイルドライフ

2019-07-02 01:27:30 | わ行

ポール・ダノ初監督作。

やっぱセンスいいなあ!

 

「ワイルドライフ」74点★★★★

 

***********************************

 

1960年代、米モンタナ州の田舎町。

 

14歳のジョー(エド・オクセンボールド)は

ゴルフ場で働く父(ジェイク・ギレンホール)と

元教師でいまは専業主婦の母(キャリー・マリガン)のもとで

平穏に日々を送っていた。

 

が、ある日、父がゴルフ場の仕事を解雇されてしまう。

 

そして父はボランティアといっていいほど安月給なのに、めちゃ危険な

山火事消火の仕事に行くと言い出した。

 

ずっと父をたてていた母だが

「あなたは逃げているだけよ!」と

仲良しだった夫婦に、口論が増えていく。

 

やがて母は生活のために働きに出るといい

濃い化粧をして出かけるようになった。

 

次第に、噛み合わなくなっていく夫婦。

そんななかでジョーは、自立せねばと

地元の写真館でアルバイトを始めるのだが――?

 

***********************************

 

いや~、マジ、びっくりしました。

ポール・ダノ、初監督とは思えないセンス!このクオリティ!

 

名作「リトル・ミス・サンシャイン」(06年)で

超ナイーブな青年を演じ

その後「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(07年)で

ヤバい宣教師を快演し

私生活でもパートナーであるゾーイ・カザンとの「ルビー・スパークス」(12年)などなど

センスよし&個性派の筆頭であるポール・ダノ。

 

本作はゾーイ・カザンとの共同脚本だそうで

うん、この人、本物だった!

 

なによりまず

主演二人がキャリー・マリガン×ジェイク・ギレンホールって

おいしすぎでしょ(笑)

 

で、内容は

1960年代のモンタナ州の田舎町を舞台に、

すこしセピアがかった懐かしい雰囲気のホームドラマで

1シーン、1カットが

写真集の1ページのように大切に作り込まれてる。

 

もちろん、お話のほうも、ちゃんとしてます。

 

平凡ながら幸せな30代の夫婦と、おとなしめで優しい雰囲気の息子。

そんな優良家族が、父親の失業で少しずつ、ほころびを見せていく。

 

「心を燃やすなにか」を探し、

いまだ大人になりきれない30代の父と母。

そりゃそうですよね、30代なんてそんなもんですよ。

 

でも、子から見れば、父と母は絶対的な大人なわけで。

 

本作は少年が

「父と母」が絶対ではなく、「それぞれ、ひとりの男と、女なのだ」と気づき

嫌悪し、失望しながらも

それを認めることで

大人になっていくプロセスを

やさしく、繊細に描いているんです。

 

それが、まあ、いい感じなのですわ。

 

そしてジョー役のエド・オクセンボールド君がまた

ポール・ダノの分身か?!ってほどに

そっくりなのも興味深いのであります。

横顔から鼻のラインとか、似すぎよ(笑)

いいねえ。

 

おなじみ映画.comさんで

本作のレビューを書かせていただいております。

併せてご参考くださいませー。

 

★7/5(金)YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

「ワイルドライフ」公式サイト


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Girl/ガール | トップ | ゴールデン・リバー »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

わ行」カテゴリの最新記事