エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

秋夕焼け

2012年10月07日 | ポエム
秋の夕焼けは、物悲しく且つあざといまでに美しい。
その美しさは、決して繰り返されないと言う刹那の美学である。

明日からは10月第二週だというのに、相も変わらず入道雲が空を覆った昼。



いつまで現れるのだろうか?
正に「雲古」である。

この日、昼間に外を歩いていて汗ばんだ。
額と言い、首筋と言い汗がじっとりと滲み出てきたのであった。

季節は不謹慎である。



斜陽の時。
鮮やかな、しかして艶やかな夕焼けが西の空に描かれたのであった。







「儚さを読み解く文字や秋夕焼け」



「空に有る生々流転の秋夕焼け」







この鮮やかな斜陽の光よ!



東の空は、奥行きのある雲で覆われた。
夜、10時を迎えんとする時刻、咄嗟とも言える「驟雨」が外界を襲った。

埃の匂いが立ち込めた。
だがしかし刹那の出来事であった。

この驟雨は、秋の長雨の始まりだった。
今日もまだ降り続き、しとしとと世界を濡らしている。
月の女神の涙か?

月の女神・・・ルナである。
ローマ神話で、月の女神。
ギリシャ神話のセレネである。



遠い記憶では、いつの間にかルナ信仰は地下に沁み込んでしまった。
だからこそ、月は儚くも美しい。

抒情的でさえあるのだ。



      荒 野人