エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

季節に寄り添って

2012年10月13日 | ポエム
今日は久しぶりに詩を書いた。
季節に寄り添って生きる、のである。





      季 節


   誰も
   知らないだろう

   ぼくが
   季節の挟間に
   埋もれている
   現実を

 





   季節は
   伝説を創り
   寓話を
   育んだ







   季節は
   速足で駆け
   その後ろを

   謐かに
   厳かに
   雨の女神が追って
   過ぎ去った
   






   ぼくは
   その季節に
   寄り添いながら

   季節に埋もれてしまった
   のだった

   季節は
   遠慮がちに
   寄り添ってくるのだ

   そうした季節
   の
   揺らぎこそ
   メトロームの刻む

   規則なのだった


   


秋の日のヴィオロンの溜め息が聞こえそうである。
そう言えば、あの小柄なヴィオロン弾きが公孫樹並木にまだ現れない。

黄葉が進まなければ、演奏しないのだろうか。
あるいは、デヴューして演奏活動が忙しいのだろうか。

どちらにせよ、あの公孫樹並木でヴィオロンを弾くシルエットは素敵である。
高い空に吸い込まれる演奏の音一つ一つが懐かしい。



        荒 野人