エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

柊の花と銀杏

2012年10月30日 | ポエム
柊の花。
それは純白の花である。







「柊や四弁の花の落ちにけり」



「柊の花の向こうに風が吹き」







まるで木犀のような花である。
だがしかし、香りは放たない。

その分控えめであり、素として咲いているのである。



花が零れ落ちる。
黒い土に映える。

四弁の白い小さな花だ。
小柄でかつグラマラスな女性だ。
昔々「トランジスタ・グラマー」なんて言う言葉が流行った。

SONYのトランジスタ・ラジオが国民の頭にあった。
そこから「トランジスタ・グラマー」なる何とも艶めかしい言葉が産まれたのである。

ソニーが世界に打って出た商品である。



公孫樹が黄色く色づいてきた。
東京の公孫樹である。







「銀杏の落果の音の重さかな」







昨夜の雨で、大量に銀杏を落としている。
老夫婦が丹念に拾い集めていた。

かく言うぼくも拾い集めた。
熟した果肉を潰さなければ、あの臭いは発しない。

踏んずけたりすると、たちまちあの臭いが発散される、

臭いけれど、美味いのである。



水たまりに映った並木が揺れた。



       荒 野人