エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

からたちの金の実

2012年10月09日 | ポエム
からたちの金の玉に出会えた。
まろいまろい金の玉である。
枳殻(からたち)は春の季語だけれど、枳殻の実は秋の季語である。



昨日拾ってきた「からたちの実」を手の平で転がしていた。
テレビの番組が変わって、佐渡裕の「題名のない音楽会」に変わった。

ぼくが音楽を学んでいた頃から、ずっと続く番組である。
ぼくの中学時代の司会者は、確か黛敏郎であったか・・・?

森麻里が「からたちの花」と「落葉松」を歌ったのである。







「柔らかな金のビロードからたちの実」



「からたちの実きみの乳房の重たさや」







この二つの金の玉を拾った。
ビロードのような肌触りで、温かかった。
この枳殻の実に出会ったのは、東久留米の落合川の源流に向かう途中である。



ここが源流の一つ。



水神様が畔に祭られている。
自然の息吹を感じられる場所である。



川の面の落ち葉が秋である。
落ち葉は躊躇いながら流れていくのである。

時として滞り、時として流れよりも早く先を急ぐ。
落ちても生きている。

北原白秋の「からたちの花」をもう一度読みたいと思いませんか?

      からたちの花

   からたちの花が咲いたよ。
   白い白い花が咲いたよ。

   からたちのとげはいたいよ。
   いい針のとげだよ。

   からたちは畑の垣根よ。
   いつもいつもとほる道だよ。

   からたちも秋はみのるよ。
   まろいまろい金のたまだよ。

   からたちのそばで泣いたよ。
   みんなみんなやさしかつたよ。

   からたちの花が咲いたよ。
   白い白い花が咲いたよ。

ぼくは、この歌を口ずさむ時胸が熱くなる。
何故なのか理由は分からない。
ただ、遠い日の母の思い出と繋がっているのかもしれない。




      荒 野人