2009年2月23日 雨
館山の隣、南房総市と言っても市町村合併前までは三芳村と言われていたところで、私のような人間にとっては三芳村といったほうがしっくりくる。
その三芳村に、家具工房を構えているDEWさんを、地元の情報誌で知ったのがおよそ1ヶ月前。工房のお仕事の関係で、ようやく念願叶い本日訪問することができました。
DEWはショップ兼工房までのエントランスから楽しませてくれます。
そのエントランスとは、ショップ兼お店まで続く本道からの山道、途中からは未舗装になり、ドッタンバッタンの束の間のオフロード体験を経て初めてDEWに到着できるのです。
お店に入ると、まだ生後半年くらいのアル君がワンワンと元気に出迎えてくれました。
アル君をなだめてから、家具を拝見させていただく。
古材を使った家具ということは聞いていたのですが、実物を見てみてビックリ!!
古材は古材でもただの古材じゃないんです。
なんかところどころの形が意味を持った曲がり方をしていたり、変に持ちやすそうだったり。そう、今井さんの家具はすべて農家、民家の昔の道具の古材を利用して作っているのです。だから何かの取っ手だったところだったりしていて、ここは何の道具のどこの部分だったのだろうなんて想像しながら見てみるのも楽しいかも。
とっておきは、機織の縦糸がすれてできた溝が無数にある材が使われたベンチ。
まるで後から彫ったかのように思えるくらい絶妙なデザインとなっている。
また、古道具に使用されていた「鉄」、文字通りの鉄らしい昔の無骨な錆付いた鉄がいい感じで使われている。昔から、特に道具では木と鉄はタッグパートナー。お互いを知らなければいいものにはならないというのが今井さんの持論。勉強になります。
今井さんが道具の古材を使われ手入る理由に、実はとっても道具好きということがあるそうです。
何かの目的のために昔の職人さんが作られた道具というものにとても愛着があるそうで、最初の職人さんが作ったということを大切にし、再度自分の手で作り直すという2度目の創作に日々奮闘されているそうです。
「昔の職人さんは、自分のアイデアを技術を通して具現化させていて、アーティストでもあり、職人でもあった」と今井さんは語り、職人とは作るところに圧倒的にウェイトがおかれている性質のものと認識していた私の浅い「職人論」に新たな考えを吹き込んで頂いた。
今井さんは、自分を職人と位置づけながらも、生来の人の真似はしたくないという気質と古材を相手にするために一点ものの製作となり、かなりアーティスト志向も発揮していらっしゃるということでした。
そんな強い創造性を感じたのが今井さんのこんなお話からでした。今井さんはとことん作りこんで完成したら、その作品は潔く自分から手放し客観的な立場に入れ替わるそうです。精魂込めて作った作品はどうしても自分の子供のような目で見てしまいますが、それを手放し距離を置いて見る。そうやって作品を自分のモノでない視線で見ることができると、「人の真似はしたくない」性格から、自分の作品すら真似はしない、したがって常に創造力を全開にして取り組むことができるそうです。
今井さんが木工を始められて早や四半世紀。職業訓練校から木工所に入り、優秀な先輩に指導を受けながら7年目に独立、当初は友人と始めた和家具の修理を専門にしながら、現在の道具古材の家具というスタイルに辿り着いたということを、琥珀細工職人の京子夫人からお聞きしました。
当初の木工所ではフラッシュを多く製作していましたが、建てられた家、ときには歪んでいる空間に調整させる据付家具の技術は今でもとても役に立っていると言われた。そして無垢の材に限らず木取りは重要であり、それができて初めて一人前だとも教えて頂きました。
話は昨今の古材ブーム、そして古材の高騰にも話は及び、その中から「モノの価値は本来自分で決めるもの」ということを改めて教えて頂きました。
自分が価値があると思ったなら、それに高い対価を払うことはいい、しかし市況が高いから高くするという自分の価値感の伴っていない設定は本質という違うと私も共感しました。
チップの文化のない私達ですが、もしもウェイターのおかげで彼女とまたは家族ととてもいい時間を過ごすことができたのであれば、そのときは決められた額のチップでなく、自分の幸せに応じたチップを気持ちよく払えるようなそんな尺度を持てたら素敵ですね。
それ以外にも今井さんからは、いろいろとても有意義なことを教えて頂きました。
例えば行き詰ったときは、①基本に立ち返ること そのためにも訓練校の基本の勉強は重要である。そしてさらに行き詰ってどうしようもなくなったときは、②そうじをする といいそうです。掃除をすると頭の中も同じようにすっきりして物事が見えるようになるとのこと。
あとは、あまりいい家具は見すぎないこと。どうしても頭に意識的に浮かんで真似になってしまうのを恐れるためです。だから今井さん夫婦は絵画や陶芸など幅広い芸術を見て感性を高めていらっしゃるそうです。
あまりに素晴らしいDEWの家具、私も見すぎないほうがいいのでしょうか?
◆追伸
<紹介頂いた初心者の知っておくべきもの>
・BAUHOUSE
・イサムノグチ庭園
・那須のじざい工房(今井さんのお知り合い)
◆写真は、今井さんが木工所時代に使用していた可動式一式道具箱
館山の隣、南房総市と言っても市町村合併前までは三芳村と言われていたところで、私のような人間にとっては三芳村といったほうがしっくりくる。
その三芳村に、家具工房を構えているDEWさんを、地元の情報誌で知ったのがおよそ1ヶ月前。工房のお仕事の関係で、ようやく念願叶い本日訪問することができました。
DEWはショップ兼工房までのエントランスから楽しませてくれます。
そのエントランスとは、ショップ兼お店まで続く本道からの山道、途中からは未舗装になり、ドッタンバッタンの束の間のオフロード体験を経て初めてDEWに到着できるのです。
お店に入ると、まだ生後半年くらいのアル君がワンワンと元気に出迎えてくれました。
アル君をなだめてから、家具を拝見させていただく。
古材を使った家具ということは聞いていたのですが、実物を見てみてビックリ!!
古材は古材でもただの古材じゃないんです。
なんかところどころの形が意味を持った曲がり方をしていたり、変に持ちやすそうだったり。そう、今井さんの家具はすべて農家、民家の昔の道具の古材を利用して作っているのです。だから何かの取っ手だったところだったりしていて、ここは何の道具のどこの部分だったのだろうなんて想像しながら見てみるのも楽しいかも。
とっておきは、機織の縦糸がすれてできた溝が無数にある材が使われたベンチ。
まるで後から彫ったかのように思えるくらい絶妙なデザインとなっている。
また、古道具に使用されていた「鉄」、文字通りの鉄らしい昔の無骨な錆付いた鉄がいい感じで使われている。昔から、特に道具では木と鉄はタッグパートナー。お互いを知らなければいいものにはならないというのが今井さんの持論。勉強になります。
今井さんが道具の古材を使われ手入る理由に、実はとっても道具好きということがあるそうです。
何かの目的のために昔の職人さんが作られた道具というものにとても愛着があるそうで、最初の職人さんが作ったということを大切にし、再度自分の手で作り直すという2度目の創作に日々奮闘されているそうです。
「昔の職人さんは、自分のアイデアを技術を通して具現化させていて、アーティストでもあり、職人でもあった」と今井さんは語り、職人とは作るところに圧倒的にウェイトがおかれている性質のものと認識していた私の浅い「職人論」に新たな考えを吹き込んで頂いた。
今井さんは、自分を職人と位置づけながらも、生来の人の真似はしたくないという気質と古材を相手にするために一点ものの製作となり、かなりアーティスト志向も発揮していらっしゃるということでした。
そんな強い創造性を感じたのが今井さんのこんなお話からでした。今井さんはとことん作りこんで完成したら、その作品は潔く自分から手放し客観的な立場に入れ替わるそうです。精魂込めて作った作品はどうしても自分の子供のような目で見てしまいますが、それを手放し距離を置いて見る。そうやって作品を自分のモノでない視線で見ることができると、「人の真似はしたくない」性格から、自分の作品すら真似はしない、したがって常に創造力を全開にして取り組むことができるそうです。
今井さんが木工を始められて早や四半世紀。職業訓練校から木工所に入り、優秀な先輩に指導を受けながら7年目に独立、当初は友人と始めた和家具の修理を専門にしながら、現在の道具古材の家具というスタイルに辿り着いたということを、琥珀細工職人の京子夫人からお聞きしました。
当初の木工所ではフラッシュを多く製作していましたが、建てられた家、ときには歪んでいる空間に調整させる据付家具の技術は今でもとても役に立っていると言われた。そして無垢の材に限らず木取りは重要であり、それができて初めて一人前だとも教えて頂きました。
話は昨今の古材ブーム、そして古材の高騰にも話は及び、その中から「モノの価値は本来自分で決めるもの」ということを改めて教えて頂きました。
自分が価値があると思ったなら、それに高い対価を払うことはいい、しかし市況が高いから高くするという自分の価値感の伴っていない設定は本質という違うと私も共感しました。
チップの文化のない私達ですが、もしもウェイターのおかげで彼女とまたは家族ととてもいい時間を過ごすことができたのであれば、そのときは決められた額のチップでなく、自分の幸せに応じたチップを気持ちよく払えるようなそんな尺度を持てたら素敵ですね。
それ以外にも今井さんからは、いろいろとても有意義なことを教えて頂きました。
例えば行き詰ったときは、①基本に立ち返ること そのためにも訓練校の基本の勉強は重要である。そしてさらに行き詰ってどうしようもなくなったときは、②そうじをする といいそうです。掃除をすると頭の中も同じようにすっきりして物事が見えるようになるとのこと。
あとは、あまりいい家具は見すぎないこと。どうしても頭に意識的に浮かんで真似になってしまうのを恐れるためです。だから今井さん夫婦は絵画や陶芸など幅広い芸術を見て感性を高めていらっしゃるそうです。
あまりに素晴らしいDEWの家具、私も見すぎないほうがいいのでしょうか?
◆追伸
<紹介頂いた初心者の知っておくべきもの>
・BAUHOUSE
・イサムノグチ庭園
・那須のじざい工房(今井さんのお知り合い)
◆写真は、今井さんが木工所時代に使用していた可動式一式道具箱