=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

「ひいな」という言葉をご存知ですか?

2009年02月25日 | 【日記】いろいろ
もうすぐひな祭りですね。
今日はそれにちなんだ話題です。

皆さんは、「ひいな」という言葉をご存知ですか?
これは昔の言葉なのでご存知ないと思いますが、なんとなく響きが気に入ったのでご紹介します。

昔、貴族の女子の間では「ひいな遊び」という紙製の人形を使ったオママゴトが流行ったそうです。
「ひいな」とは、大きなものを小さくする、小さなかわいいものという意味だそうです。これらが時間を経て、現在のひな祭りにつながっているそうです。

「カワイイ」という言葉を使うことがやたら多い最近の女子ですが、「かわいい=ひいな」は日本の文化だと思うので、これからも「ひいな文化」を高めていってほしいと思います。
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命のしぶき

2009年02月25日 | 【お出かけ】木のむくまま
2009年2月24日 雨

日本人なら聞いたことがある日蓮上人。
実は房総の生まれなんです。

日蓮上人の生まれた場所は現在「誕生寺」という県下でも最大級と言われる立派なお寺が建っています。
そのお寺は、建物に加え建物にすえられた彫刻も見事ということで、今日は鴨川郷土資料館で開催されている「誕生寺彫刻展」と「誕生寺」に行ってきました。

資料館では龍や獅子の彫刻を間近に見て、普段はお寺の屋根とか高いところにすえられている彫刻がとても大きく迫力があることを改めて感じました。
大きなものを作るのって全体が見えなかったり、自分の見えない角度で見せるように作らないといけないと思うので、バランスとか想像力がとても大変だと思います。
似顔絵書きのプロも言っていました。小さなものより大きなものを描くほうが難しいって。

それにしても、いくつもの傑作を見せつけられて、本当にこんな手の込んだ作業を成し遂げた先人を尊敬しました。
彫刻は形が残りいい加減な仕事をすればすぐわかってしまうし、後世まで残ってしまうこともある。例えば龍が複雑に絡み合いながら波しぶきを上げている図なんて、その裏側なんてややもしたらいい加減にしてしまいたくなるかもしれない。でもそれをすると、なんとなくわかってしまう。そういうものだと思います。

房総には通称「波の伊八」と言われた彫刻の名工がいます。
正式名を武志伊八郎信由(1752-1824)といい、
西の彫物師の間では「関東に行ったら波を彫るな」と言われるほど、神社仏閣を中心とした龍や獅子、牡丹などの彫物に加え波の彫物が別格の素晴らしさであったそうです。
確かに彼の作品の波は、あの一時として止まっていない瞬間の波のうねり、しぶきを木という素材で見事に作り出していて、あの葛飾北斎の富嶽三十六景の絵画にも影響を与えたと言われています。
資料館には彼の20代、50代、70代の龍の彫物の変遷が展示されていて、私はそれを見たときに恐縮ながら伊八さんの一生の仕事にかける情熱と人生の哀れのようなものを深く感じました。
20代の龍はどこか形式ばっていています。
50代になるととても流暢な雰囲気を醸し出していて脂ものりご自身の作風を自在に操っている風があります。
そして最後の70代の作品

http://ihachi.srv7.biz/ihachi/MYOUNENJI_SHOUMEN.jpg
(波の伊八美術館より)
※リンクにすると繋がらないためお手数ですが上記アドレスをコピーしてご覧ください。

は亡くなる前年と記されていたと思いますが、その龍はまさに一生の集大成、残りの命を振り絞りしぶきをあげているようなオーラを感じます。私はしばしそれを見つめていました。
残念ながらお堂の中のため一般公開はされておらず写真ではありましたが・・・


その他、資料館には郷土の風俗として農具や漁具が展示されていて、機織機などの複雑な道具はおろか、鍬や竹篭、小船や馬の鞍など、昔の日常品ではありますが、これらの何一つ自分一人の手では作れないことを悟りました。
作り方も知らないし、材料も知らない。どんな工夫がされていて、ましてや最初に発明した知恵など浮かぶ余地もない。
なんと自分が無力で、社会や先人達の努力と知恵の結晶に支えられて生きているかということを実感しました。

私が家具作りを志した原点のひとつには、こうした自分の手でせめて何かを作りだしていきたい。そんな思いがあったのですが、それを再認識させられました。

たった一人の人間のアイデアとかデザイン、一生にできることは、全人類の財産に比肩しようもありません。
全人類の財産の上っ面のほんの欠片のようなところで生きている自分と、しかしそれを構成しているひとつでもあるという自負を持って今後の仕事をしていきたいと思います。
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