=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

人間国宝にお会いする(1)

2009年09月27日 | 【お出かけ】木のむくまま
今日は長野まで遠征です。
伊那と長野はおよそ110キロ離れていて、ちょっと気軽に行こうというわけにはいかないので、「木工の人間国宝のお話が聞ける」ということを大義名分にやってきました。

会場は、善光寺の脇にある信濃美術館「日本のわざと美」展です。そして接して東山魁夷美術館があります。

まずはじめに、はっきりいって私は「人間国宝」を誤解していました。
人間国宝というのは俗称であることを知っていましたが、その意味をあまり深くは知らず私はその「人物」に注視しすぎていました。
人間国宝とは、文化財保護法による無形文化財の保持者を言うことは間違いないのですが、そもそも無形文化財とは芸能、工芸技術等の無形の「わざ」そのものを指します、その「わざ」はこれを高度に体得している個人または団体が体現する。そして、日本国政府はこの「わざ」を体現する個人または団体を重要無形文化財の保持者または保持団体に認定し、その継承の支援と保護を行っているのです。

つまり、
対象は、その「わざ」
であり、
認定は、「個人も団体」
もあるということです。

人間国宝の作品を見ることはよくありますが、
あれらの作品は、「わざ」を通してできた結果であり、この法律でいう大切なことはあくまでそのプロセスの「わざ」なんです。
したがって、会場には木工や染色の「わざ」以外にも、染色するための、例えば藍染の藍を栽培する「わざ」とか、織物の織機の部品を作る「わざ」、木工に関して言えば漆を掻いたり精製する「わざ」も、重要無形文化財に指定されていました。

そして、それらの「わざ」は、個人単位だけでなく、団体の単位もあるのです。
(団体認定の場合は人間国宝とは言いませんが)
例えば演劇などは一人では完成しません。あくまでそのグループや団体があって初めて成立するものですし、各地にある○○保存会というところの活動も突出した個人がいなくても、その団体が認定されています。

それ以外にも、とても難しい各種美術品の名称の由来も理解できました。
中国料理の名称のつけ方に似ていますね。







作品の中で気に入った点は以下です。

■「木工」黒田辰秋さん
昔雑誌を見ていたときに、「こういうの作ってみたい」と目が止まったのが、黒田さんの作品でした。今日は初めてそれを目にできました。

■「桐塑人形」市橋とし子
この素朴な人形にとても目を惹かれました。
とくにこの人形のおばあさんと目を合わそうと思っても合わせられない。このどこを見ているともわからない視線は、いったいどのように作るのだろうかと思いました。

■日本刀
にぶく光るその刀身はたしかに芸術品です。でも刀はもともと道具です。道具は使われてこそ価値があるということを考えると(別に現代に刀殺人を促しているわけではないですよ)、芸術品になってしまったものになにか寂しさを感じます。
家具も同じです。使われずに博物館に並ぶようになったら寂しいですね。


さて、上記以外にもさまざまな重要無形文化財が紹介されていました。

そして、いよいよ人間国宝「大坂弘道」さんの講演です。
コメント
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