不世出の絵師「河鍋暁斎」を父に持ち、兄(暁雲)との葛藤に悩み、激動期(関東大震災を含む)を生き抜いた女絵師(河鍋暁翠)の一代記。
第165回(2021年上期)直木三十五賞受賞。別冊文藝春秋2019年7月~21年1月号連載。321頁。
目の痛みがやわらぎ、1回5~6頁の読書を繰り返すことで、ようやく(4ヶ月かかったが)読了した。
正直のところ、こうした絵師(暁斎)の存在すら知らなかったが、残された絵を拝見するに、文字通りの「鬼才」だと思った。さぞ、その娘としては、数々の葛藤に苛まれたのではと推測する。
蛇足:直木賞審査員の寸評
北方謙三~「言葉をさまざまに費して評する必要はなく、描かれた人物がそこここに立ちあがり、時が流れる。新しくはなく、しかし連綿と続いてきた物語の強さを持っている。だから、古くもならないだろう。この作者は、物語の端緒から、筆が躍る傾向があったが、今回は驚くほど抑制された筆だった。」~「直木賞のすべて」から拝借しました。