前回のブログでNHKが民放に先駆けて進めている番組のインターネット同時配信について、高市総務大臣が閣議後の記者会見(11月8日)で、待ったをかけたことを書いた。総務省サイドとしては、コストが適正かどうかなど懸念を述べ、NHKの肥大化につながる恐れがあるとの考えを示した。
その理由は、NHKの基準案では、同時配信などの基本業務は受信料収入の2.5%を上限とする今の基準を守るとした一方で、1)東京オリンピック、2)国際放送の配信、3)字幕と手話への対応、4)地方向け放送や民放連との連携の4業務は公益性が高いので別枠扱いにするとした。これに対し、総務省サイドは費用が最大で受信料収入の3.8%に膨らむではないかとクレームをつけたのだ。総務省の指摘の通りで、別枠扱いを認めれば予算はさらに膨張するだろう。まず、NHKのミッションである人々の命と財産を守る、災害報道に対応するため、同時配信をそのものを一刻も早くスタートさせることだ、と述べた。別枠はスタートしてから考えるべきだ。
総務省の「待った」には背景がある。受信料である。NHKの受信料収入は年間7000億円を超え、繰越金残高はNHK本体だけでも1000億円もある、とされる。高市大臣が受信料が適正かどうかと問うたのは、ある意味、国民目線の疑問でもある。もちろん、NHKの反論もあるだろう。10月から消費税が8%から10%に引き上げられたが、NHKは放送受信料額を改定せず、「受信料は実質2%の値下げ」とした(NHKホームページ「受信料の窓口」)。さらに、NHKは来年10月までに2.5%の値下げを行う予定で、合わせて実質4.5%の値下げになる、と主張しているのだ。この程度の「値下げ」で国民は納得するかどうか、だ。
先日(8日)のニュースで、NHKの受信料名簿が集金委託先の会社を通じて外部に漏れ、それが特殊詐欺に使われていたと報じられた。NHKは記者会見で、名簿には家族構成など含んだ個人情報が掲載されていると説明した。このこと自体、契約者の不信感を増幅させた。なぜ、受信契約でそのような個人情報が必要なのか。契約の範囲を超えて、視聴者を管理しようとの意図があるのではないか。このような中で、インターネットの同時配信が可能になれば、NHKは契約者の好みの番組なども把握できるだろう。
⇒13日(水)午前・金沢の天気 はれ