騒乱状態の香港。アメリカのポンペオ国務長官が、デモ隊と警官隊の激化する衝突について「深刻な懸念」を表明したとメディアが報じている(19日付・共同通信Webニュース)。それによると、ポンペオ氏は香港市民はイギリスからの香港返還(1997年)に際し保障された自由を求めているだけだと指摘し、「中国共産党は約束を守らなければならない」と述べ、香港政府による暴力的対応を支持する中国政府をけん制した。一連の香港発のニュースをチェックしていると、警察によるまるで武力制圧の様相だ。
香港の騒乱を詳細に報じているイギリスBBCのWebニュース(18日付日本語版)では、警察官が理工大学のキャンパスに入った様子を記者がルポしている。17日午後5時半ごろ、警官隊がキャンパスを制圧しようと攻勢に出た。デモ参加者は、火炎瓶やレンガを投げるなどして抵抗した。双方の衝突が散発的に続き、キャンパス内では火炎瓶による火災が発生した。一部のデモ参加者はキャンパスを出ようとしたが、警官隊の催涙ガスで押し戻した。
警官隊は17日午後10時を最終期限とし、デモ参加者に降伏を呼びかけ、応じなければ殺傷能力のある武器を使う可能性もあると警告した。すると、多くのデモ参加者は黒い服を脱いでマスクを外し、姿を消した。多くの若者が拘束され、キャンパスには500人以上の若者がとどまっていてる。
キャンパスに残った若者・学生たちは危険を考慮せず、覚悟を固めているようだという。BBC記者に学生は「もし私が死んだら、私のことを覚えていてほしい」と言った。記者が「そういう事態になると思うか」と聞くと、不安そうに肩をすくめたという。死を覚悟している若者の姿が目に浮かぶ。
その若者たちを助けようと市民が動いた。けさ19日のNHKニュースによると、警察に包囲され大学にとどまる学生たちを助けようと大勢の市民が大学の周辺に集まった。しかし、警察は強制排除に乗り出し、市民と衝突した。拘束される人が相次いだ。ポンペオ氏が「深刻な懸念」を表明した背景は、保障されたはずの自由がすでに市民から奪われているこの現状に危機感を抱いたのだろう。
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