自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆防衛力強化で増税ならば まず政治家自らが襟を正すべき

2022年12月12日 | ⇒メディア時評

   防衛力強化の財源をめぐり、岸田総理が1兆円強の増税で賄うと表明したことが物議をかもしている。メディア各社によると、高市経済安保担当大臣は「防衛力強化の中身より先に財源論が出たので驚いた」と述べ、元自衛隊員の自民党の佐藤元外務副大臣も「防衛力の中身を説明する前に増税では順番が違う」と苦言を呈した。さらに党内部から、「運び方が雑すぎる。全く理解できない」(大塚衆院議員)や「岸田総理の発言に真っ正面から反対して、防衛増税という考え方そのものに反対する」(青山参院議員)などの声が上がっている。おそらく、有権者の多くも同感ではないだろうか。

   有権者の目線で言うと、そもそも削るべき予算が多々ある。2022年度の一般会計総額は107兆5900億円で、10年連続で過去最大だ。この巨額の資金はいったい何に使われ、未来の成長や社会の安心につながる中身となっているのか疑問に思っている有権者も多いのではないか。

   たとえば、政党から政治家個人に渡る「政策活動費」は、使い道を明らかにしなくていい「領収書がいらない」政治資金だ。朝日新聞Web版(11月27日付)によると、同社が2002年から2021年の政治資金収支報告書を集計したところ、自民党の「政策活動費」は20年で総額約379億円となっており、5年にわたって幹事長を務めた二階氏には、合計で50億6000万円が渡っていた。また、国会議員には給与とは別に毎月100万円の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)が支払われている。これも領収書不要、残金の返金をしなくてよい。(※写真は、参院代表質問に答える岸田総理=10月7日のNHK総合)

   領収書もいらない不透明な政治資金そのものに有権者は疑心暗鬼の念を抱いている。増税をするのであれば、政治家が自ら襟を正し、政策活動費の透明化と削減を行うと表明してから、増税を国民に問うべきではないか。自民党内部からも、「運び方が雑すぎる」との声が上がっているが、まさにその通りと納得する。総理とあろうものが簡単に増税を口にすべきでない、と言いたい。

⇒12日(月)夜・金沢の天気 はれ

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