自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★目の当たりの『戦』この一年 ~その2~

2022年12月29日 | ⇒メディア時評

   もう39年も前、大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』を観た。太平洋戦争をテーマにしているのに、戦闘シーンがまったくない、日本軍の俘虜(ふりょ)収容所を舞台にした映画だった。いま、この映画のタイトルを思い出したのは、BBCニュースWeb版(今月25日付)のニュース。ロシアによるウクライナ侵攻に対して、ゼレンスキー大統領が国民に呼びかけたクリスマスメッセージだった=写真=。

   ~ウクライナ反転攻勢 『戦』場のメリークリスマス~

「"We will celebrate our holidays! As always. We will smile and be happy. As always. The difference is one. We will not wait for a miracle. After all, we create it ourselves."(意訳:このクリスマス行事をいつものように祝おう! 微笑んで幸せをかみしめよう。いつものように。ふだんとの違いはひとつ。私たちは奇跡を待たない。というのも、奇跡は自分でつくるものだからだ)」

   ウクライナではロシアと同じ1月7日をクリスマスとしてきたが、ロシアによる侵攻への反発から、ウクライナ正教会は12月25日のクリスマス礼拝にシフトした(26日付・NHKニュースWeb版)。ゼレンスキー氏は「 "We endured at the beginning of the war. We endured attacks, threats, nuclear blackmail, terror, missile strikes. Let's endure this winter because we know what we are fighting for.(意訳:戦争が始まって、私たちは耐え抜いた。攻撃や脅しや核の脅迫、テロ、ミサイル攻撃を耐え抜いた。今またこの冬も耐え抜こう。私たちは、自分が何のために戦っているか分かっているのだから)」と呼びかけた(25日付・BBCニュースWeb版)。じつに力強いメッセージだ。

   300日余り経過したウクライナ侵攻の戦況はどうか。ウクライナ軍は、ロシアに支配された領土の奪還を目指して反転攻勢を続けていて、このうちロシア軍がことし7月に全域の掌握を宣言した、東部ルハンシク州では、要衝クレミンナの奪還に向けて攻勢を強めている(29日付・NHKニュースWeb版)。

   戦況はまだ見通せないが、仮にウクライナが白旗を掲げても、ロシアが勝利したと言えるだろうか。「偽旗」を掲げて一気にウクライナの領土に踏み込んだことを世界の多くの人々が認識している。これを国際世論は許すだろうか。ロシアは「ならず者国家」に転落したことは間違いない。

⇒29日(木)午前・金沢の天気     くもり時々あめ   

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