生活インフラは徐々にではあるものの回復している。停電は10日前の9日午後で1万8000戸だったが、きょう午後現在で7420戸となり、6割ほどが復旧した。問題は断水だ。9日午後に5万9000戸だったが、きょう午後現在でも4万9990戸で断水が続いている。中でも輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町の6市町はほぼ全域となっている(石川県庁生活環境部まとめ)。
そのような状況の中で、飲料水は配給されるペットボトルなどで確保できたとしても、風呂も入れず、シャワーも浴びていないという被災者も相当いる。そんな中で、被災地で「水再生装置を用いたシャワーセット」が活躍しているようだ。以下、経営戦略のコンサルタントで知られる大前研一氏のメールマガジン(12日付)で掲載された記事の引用。
シャワーセットを被災地に提供しているのはベンチャー企業「WOTA(ウォータ)」(本社:東京都中央区)。すでに、七尾市の避難所で断水状況下でシャワー浴ができるポータブル水再生システム「WOTA BOX(ウォータボックス)」を設置している。可搬型の製品で、大きさは家庭用エアコンの室外機程度。RO(逆浸透)膜をはじめとする数種類のフィルターによる濾過、塩素殺菌、そして紫外線照射による殺菌で排水の98%を飲用レベルまで再生させる装置。上下水道管をつながなくても、装置の中で再生された清潔な水を繰り返し使うことができる仕組みだ。
これにより、シャワーは100㍑だと2人しか浴びられないが、「WOTA BOX」だと100人が浴びられる。大前氏は記事の中でCEOの前田瑶介氏について、「水のないところで水を作る『小さな水再生システム』を開発・実現し、アフリカなど水に困る地域を救っている非常に志の高い人物」と評している。(※写真は、被災地に到着した「WOTA BOX」=前田瑶介氏の9日付「X」より)
大前氏は被災地の様子をテレビで視聴していて、久しりぶりにシャワ-を浴びたと喜んでいる被災者のバックに「WOTA」と書かれ施設があったので、さっそく前田氏と電話で連絡を取ったようだ。「今朝、私が彼に電話をすると、彼はまだ能登におりましたので、私はその施設を一つ寄付するので本当に必要とするところに置いてあげてくれと伝えました」「彼は自分たちの技術が日本で生かされるとは、想像していなかったことでしょう。彼は今も、現地の非常に不便な環境での立ち上げを手伝っていると思います。一刻も早く、彼らの技術で困っている多くの人々を助けてくれることを願っています」
自らの活かせる技術を被災地で役立てようと懸命になっている人物の様子が大前氏の記事から伝わってきたので紹介した。
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