能登には「九六(くろく)の意地」という言葉がある。能登の民家は特徴でもある黒瓦と白壁、そして間口9間(約16㍍)奥行き6間(約11㍍)の大きな家を建てることが人の甲斐性(かいしょう)という意味だ。先日訪れた能登町で九六の民家が倒れていた=写真・上=。建物は頑丈な造りなのだが、地震で裏山が崩れ倒されたのだろう。じつに痛々しい思いがした。
石川県庁危機管理監室はきょう20日午後2時現在で、能登半島地震の住宅被害が3万1670棟と発表した。これまで「多数」と発表していた輪島市の戸数が一部判明したことに加え、各市町の被害戸数の実数が明らかになってきた。珠洲市は「多数」としており、実数が分かればさらに増える。
自治体別にみると、全壊と半壊、一部破損を含めた数では七尾市が8342棟ともっとも多く、能登町5000棟、志賀町3443棟、金沢市3034棟、中能登町1818棟、羽咋市1578棟、小松市1288棟、内灘町1254棟と続く。輪島市は870棟としているが、罹災証明書の交付や申請の数から算出したもので、今後さらに増えるだろう。
被害が輪島市と並んで大きかった珠洲市では詳しい状況は把握できていないとして、「多数」としている。同市の泉谷満寿裕市長はオンラインでの政府と意見交換(18日)で、全壊が市内約6000世帯のうち5割にのぼるという見通しを述べていた。
文化財の建物にも大きな被害が及んだ。輪島市町野町にある「上時国(かみときくに)家」は1185年(文治元年)の平家滅亡後に能登へ配流になった平時忠の子孫・時国に由来する住宅で、国の重要文化財に指定されているが主屋が倒壊した。かつて日本海の水運に重要な役割を果たした輪島市門前町黒島地区は「伝統的建造物群保存地区」に指定されていて、旧・角海家住宅はシンボル的な建物だったが、これも主屋が倒壊した。地震によって歴史文化遺産が破壊された。(※写真・下は倒壊前の上時国家=輪島市公式サイトより)
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