もう8年も前の話だが、「ネズミ捕り」にひっかかったことがある。66㌔で走っていて安全運転のつもりだったが、交通警察から「ここは制限速度50㌔です」と言われ、16㌔オーバーの違反切符を切られた。66㌔で走っていてスピード違反は納得できなかった。かといって、拒否して裁判にでもなれば罰金という刑事罰を食らうことにもなりかねない。警察権力は国民に対して建前を強要して、国家の秩序を維持しているのだ、と自分を納得させ抵抗をあきらめた。後日、1万2000円の反則金を払った。
このブログでも何度か取り上げた事件。新型コロナウイルスの緊急事態宣言の中で賭けマージャンをしていたとして刑事告発されていた東京高検の黒川前検事長と新聞記者ら4人について東京高検は10日、4人の不起訴処分(起訴猶予など)を発表したとメディア各社が報じている。黒川氏は5月1日と13日の夜、都内にある産経新聞の記者の自宅マンションを訪れ、同社社会部の次長と記者、朝日新聞の記者だった社員1人と4人で賭けマージャンをしていた。この日だけではなく、3年ほど前から月に1、2回の頻度だった。賭け金は1千点を100円に換算する「点ピン」と呼ばれるレートで、1回で1万円から2万円程度の現金のやり取りだった。
事件が発覚したきっかけは「文春オンラン」(Web版・5月20日付)と週刊文春の記事だった=写真=。「黒川弘務検事長 は接待賭けマージャン常習犯」。その後、市民団体から賭博の疑いで刑事告発が相次ぎ、東京地検が捜査を進めていた。高検は起訴猶予の理由として、4人が旧知の間柄で、動いた金額も多額ではなく、賭博性を高める特殊ルールを採用していないため「娯楽の延長線上にある」とした上で、4人が辞職や停職処分で社会的制裁を受け、いずれも事実を認め反省していることを挙げた(7月11日付・朝日新聞)。
冒頭で述べた、50㌔規制の道路を66㌔で走行したスピード違反は、警察に「今後絶対に違反はしません。交通ルールを守ります」と反省の気持ちを込めて土下座したとして、許しを得ることはできただろうか。許されるはずがない。では、法の番人である検察最高幹部による刑法の「賭博」に抵触する行為が、「社会的制裁」「事実を認め反省していること」をもってなぜ不起訴となるのだろうか。
令和元年(平成31年)のスピード違反の検挙件数は113万7255件(警察庁「交通関係法令違反の検挙状況」)だ。交通警察はそれを実績として誇るかもしれないが、「ネズミ捕り」への恨みはけっこう根深い。ましてや、今回の「賭博 不起訴」のニュースで「また、上級国民への配慮か」と格差感を抱いてしまう。検察の不起訴処分が妥当だったかどうかをチェックする検察審査会の判断に注目したい。
⇒12日(日)午後・金沢の天気 くもり
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