新型コロナウイルスによるパンデミックがようやく和らいできたようだ。石川県の感染状況は「ステージⅢ(感染まん延特別警報) 」となっていて、感染者の7割を占める金沢市には「まん延防止等重点措置」が適用されている。このため兼六園など観光名所はいまも閉鎖が続いているが、数字的に減速傾向が見え始めてきた。
きょう27日、石川県は新たな3人の陽性が確認されたと発表した。感染者が5人以下となるのは7月4日以来で85日ぶり。これまで119人(7月28日)を数えるなど7月下旬から8月にかけては高止まりだったが、9月に入り徐々に減少に転じた。石川だけでなく東京など全国的な傾向だ。NHKニュースWeb版(27日付)によると、政府は東京や大阪など19の都道府県に出されている緊急事態宣言と、石川など8つの県に適用されているまん延防止等重点措置は今月30日ですべてで解除する方針を固めた。
この全国的な減速傾向はワクチン接種が進んでいるからだろう。総理官邸公式ホームページによると、きょう27日時点で2回目の接種を終えた人数は7249万人で人口の57%に達している。
パンデミックの危機はなんとか脱出できるとしても、問題は経済の落ち込みだ。内閣府発表(8月16日付)では、ことし4月から6月までのGDPの速報値は物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてプラス0.3%だった。年換算でプラス1.3%となり、GDPは2期ぶりにプラスに転じたことになる。ただ、比較の対象となる1月から3月までのGDPの伸びが年率換算でマイナス3.7%の下落だったことを考えると、景気の持ち直しの力強さを欠く。とくに個人消費はGDPの半分以上を占めるが、プラス0.8%の伸びにとどまっている。
日銀の黒田総裁はきょう記者会見で、「感染拡大がいつピークアウトするのかにもよるが、緊急事態宣言などが解除されるようになれば、個人消費、なかでも対面型のサービスが回復することが期待される。早ければ年内、遅くとも来年早々には、外食や宿泊にも回復が広がっていくのではないか」と述べた(NHKニュースWeb版)。日銀は金融政策決定会合(9月21、22日)で、短期金利をマイナスにし、長期金利がゼロ%程度に抑えるよう国債を買い入れる今の大規模な金融緩和策の維持を決めている。
日銀は経済回復を煽っているという印象だ。そして、政府は全都道府県の緊急事態宣言およびまん延防止措置について、今月末で解除する方針を固めた。では、「Go To トラベル」事業はすぐに再開されるのだろうか。加藤官房長官は記者会見(今月16日)で「感染状況を見ながら、専門家の意見を聴き、適切に判断していく」と述べたにとどまっている。おそらく政府とすれば、「Go To トラベル」を再開したいというのが本音だろう。メディアや野党などからの「時期尚早」などとバッシングを想定しながらも、政府がいつ「Go To トラベル」を再開するのか、ここが個人の消費動向を促す経済回復策の一つのポイントではないだろうか。
⇒27日(月)夜・金沢の天気 はれ時々くもり
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