自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★大きな「九六の家」から仮設住宅に 窮屈さがストレスに

2024年04月24日 | ⇒ドキュメント回廊

  政府はきのう23日の閣議で、能登半島地震の被災地を支援するため、2024年度予算の予備費から1389億円の追加支出を決定した。仮設住宅の建設などに683億円、公共施設や土木施設の復旧に647億円、農林漁業者支援に44億円、福祉・介護サービス提供体制の整備事業に16億円を充てる。能登地震に対応した予備費の支出決定は4回目で、合計は4000億円を超える(23日付・時事通信Web版)。

  元日の地震による全半壊の住宅は2万3917棟(今月19日現在)に及ぶ。国からの支援を受けて県は仮設住宅の設置を進めていて、6月末までに仮設住宅4600戸を完成させるとしている。ただ、一つ懸念するのは能登の人たちは仮設住宅で快適に過ごせるだろうか、ということだ。

  とくに地震の被害が大きかった奥能登では、「九六の意地」という言葉がある。間口9間(約16㍍)奥行き6間(約11㍍)の大きな家を建てるのが男の甲斐性(かいしょう)とする風土だ。黒瓦と白壁、そして九六の威風堂々とした建物が奥能登で立ち並んでいる。奥能登の4市町(輪島、珠洲、穴水、能登)の被災地では、建物の構造がしっかりしていて揺れには耐えたが、裏山のがけ崩れで横倒しになった住宅をよく見かけた。そこで思ったのが、九六の家に住んでいる人たちはコンパクト化した仮設住宅で不便ではないだろうか、という懸念だった。(※写真は、裏山のがけ崩れで倒壊した大きな民家=1月30日、珠洲市で撮影)

  奥能登の人たちはあまりしゃべらないが、しゃべると声が大きいとよく言われる。これは大きな家に住んでいるので普段から家族が聞こえるように大声で話すことに慣れているから。が、仮設住宅で大声が必要だろうか。また、つい先日まで、二、三十畳もある居間で一家だんらんの生活をしていた人たちが仮設住宅となると精神的にも窮屈ではないだろうか。ストレスがたまるかもしれない。余計なお世話と言われるかもしれないが、能登の人たちの豊かな居住生活を見てきただけに、ふとそんなギャップをあれこれと考えてしまう。

⇒24日(水)午後・金沢の天気   あめ


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