トイレは、思索の場。
男子も、おしっこのときもあわてないで座って、少し考えをめぐらしてみましょ。
これ、いい本ですよ。
一回座るごとに、世界への理解が深まっていきます。
この日は、四つの化学結合とファンデルワース力の正体をゲットしました〜。
で、
コラム「mRNAワクチンって?第3話」(次回、最終回)
さて、いよいよ本題のmRNAワクチンだ。
ここで重要なのが、コロナウィルスが体内に格納しているのは、DNAではなく、RNAだという点だ。
遺伝情報は、必ずしも高度なDNAではなく、RNAの一重らせんの形でも事足りるのだ。
DNAという素晴らしく完璧なアイデアが生まれる前、古代世界に生きる先達はRNAによって情報を後世に伝えていたのだよ。
そんな名残なのか、コロナウィルスは自らの情報をRNAの形で保存しているのだった。
そのゲノムを読み取った人類は、それを逆手に取って、コロナ撃滅の反撃に出たのだな。
日々、報道などで目にするコロナウィルスの姿を思い浮かべてほしい。
ころりと丸いボディに、「スパイク」というトゲトゲが飛び出している。
この突起は、コロナウィルスが生物に取り込まれようとする際に、相手の「レセプター」という受容体と噛み合わせるためのジョイント部だ。
要するに、人類の体内の細胞にコンセントがあり、ウィルスのスパイクは、それにぴったしと合うプラグの役割を果たすわけだ。
このタンパク質製の小パーツ(スパイク)の構造をコピったmRNAこそが、mRNAワクチンなのだった。
さて、「コロナウィルスのスパイクパーツの遺伝情報」を、きみの体内に注射するとどうなるか?
細胞深部に浸透したmRNAは、リボソームに働きかけ、tRNAにアミノ酸をタンパク質の形につながせて、スパイク(つまり、コロナウィルスの無毒な一部)を作成し、体内に解き放つ。
対してきみの体内の免疫機能は、この異物を排除しようと襲いかかる。
スパイク自体にはなんの害もないので、人類は罹患することもなく、この対決(練習試合)にあっさりと勝利できるのだった。