みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

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閑輝会展へ

2010年01月10日 18時52分23秒 | 気ままにお出かけ
閑輝会展を見てきました。

閑輝会は日本画を学ぶ生徒が作る会で、今回の展覧会はその17回目の作品展だそうです。ちょうど用事があったので、そのついでに無料だからと立ち寄りましたが……

レベルが高い!

一口に「生徒の作品」などと言えないほど鮮烈な作品ばかりです。日本画ではありますが、古典的な日本画と違い、洋画の影響、特に印象派の影響を強く受けているように思いました。

展示作品の周囲に柵は設けられていません。ガラスで仕切られてもいません。気に入った絵は、顔をすり付けるほどの間近で見て、筆遣いや絵の具の重なりまで、じっくりと楽しむことができます。
*  *  *

印象に残った作品:

●「葉鶏頭」 画: 花田好子 氏

画面に色があふれます。まず、燃えるようにほとばしる葉の赤に目を奪われます。その赤に負けずに、黄も荒々しく流れます。色は、緑色の背景の上を大胆かつ縦横に走り、その勢いから葉の鮮やかさと伸びやかさが伝わります。

全体として葉の輪郭ははっきりせず、印象派のような絵です。近くでよく見ると葉の輪郭が白い絵の具で描かれていますが、その輪郭も一定の濃さ・太さで明瞭 (めいりょう) に描かれた線ではなく、書のような息遣いを残しています。

●「水上マーケット」 画: 森下明典 氏

東南アジアの川でしょうか。人ひとりが乗れる程度の細長い木の舟が、静かな水面をすれ違います。それぞれの舟には野菜や果物が山と積まれています。これから売りに行くのでしょう。中にはパイナップルや、真っ赤なドラゴンフルーツもあります。

こぎ手の女性は白い服をまとい、穏やかな表情を浮かべています。すれ違う舟どうし、お互いに挨拶 (あいさつ) をして言葉を交わしているようです。作物を売るという日々の何気ない暮らしの中から喜びがわき出し、幸せとなって家族を満たします。

●そのほか、「竹林」では、1枚1枚丹念に描かれた竹の葉が、リズミカルに様式化された文様のようです。赤一色の世界に溶け込むフラミンゴの絵も印象的でした。
*  *  *


生き生きとした絵が多く、どの作品も新鮮で、暗く沈んでいた心が洗われ、すっきりと晴れました。

受付では図録を販売していましたが、図録を買うのは我慢しました。展覧会に行くたびに図録を買っていては、家の中が図録だらけになってしまいます。それに、展示されている作品のほとんどは畳半分ほどもある大きな絵です。図録に収められた小さな写真とは迫力が違います。絵は目に焼き付けておけばよいのです。

展覧会場を出て、エレベーターを降りて館外へ。この後は用事が入っています。ゆっくりしている時間はありません。

カツ、カツ、カツ……

やや急ぎ足で向かいます。ヒールの音が硬い床に響きます。

カツ、カツ、カツ……

カツ、カツ、カツ……

やっぱり図録を買っておけばよかった。

でも、今さら戻るわけにはいきません。時間に遅れてしまいます。

カツ、カツ、カツ……

あー、図録を買っておけばよかった。