みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

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茫洋

2010年01月17日 21時49分52秒 | 気ままにお出かけ
創炎展を見てきました。創炎美術協会の作品展です。名古屋学芸大学の卒業制作展と同じ建物で開かれていました。

展示されている作品は、象徴性や抽象性が高く、いかにも「芸術」といった感じの絵が多かったです。美術について造詣 (ぞうけい) が深いわけでもない私には、先日の閑輝会展ほど親しみやすくありません。ある程度ゲージュツについて学んでいる (ギョーカイの事情に通じている) 人であれば、いろいろな刺激があるのでしょうが。

その中で目に留まったのは2枚の絵。どちらも「茫洋」(ぼうよう) と題され、並んで展示されていました。同じ人の手による絵です。

急斜面の細い路地。両側には、包丁で切り揃えた豆腐のような四角い建物が、路地を挟み込むように建ち並んでいます。奥には青い海。ただただ べったりと青い海。地中海でしょうか。さらに奥のエーゲ海でしょうか。白い波が立つことも、陽光のかけらが跳ねることもない、ただただ べったりとペンキを流したように青い海。

建物の壁は、もともと真っ白いと見受けられます。その壁が、1枚ではレモンイエローに染まっています。朝日を浴びているのでしょうか。もう1枚では建物の壁が薄い紫色に染まっています。こちらは夕景でしょうか。

この絵には茫洋という題が与えられています。茫洋という言葉は、広々としている様子を表します。対して、海は画面の上1/3ほどに遠く見えるだけ。ちっとも広くありません。

しかし、その海は、ペンキを流したような原色の青をたたえています。朝日が町の活気を呼び起こしても、夕日が夜を誘っても、路地の奥に遠く見える海は、ただただ青いだけ。べったりと無表情な、青い青い海。

朝日にも夕日にも、時の流れにも染まらずにそこにあり続ける海。その超越した存在が「茫洋」なのかも知れません。