階段をまっすぐに降りられない。
横向きでゆっくりゆっくり、降りる日が続いた。
以前、左足首をねん挫したことがあった。
左足をかばいながらゆっくり、歩いた。
自宅近くの道路が、平らでないことをこの時に知った。
その時の経験より、今回は辛かった。
テーピングしたり、サポーターをつけたり、左足のトラブルをかばって歩いているうちに
右足首の関節が痛くなり、太ももへまで筋肉の痛みが走るようになった。
自宅の部屋の中では、痛みをほとんど感じないのに、階段を降りるときは体を横に。
靴を履くと、とたんに、右足首や、土踏まずあたりに違和感が起きた。
片道、15分の道を、とぼとぼと、20分以上かけて進んだ。
「どうなるんだ」と、気持ちが塞いだ。
少し違和感がまだ残るものの、階段をまっすぐに降りられるようになった。
サポーターもせずに、靴を履いても、ねん挫した時を経てよみがえるかすかな足首の痛みくらいになった。
変にかばわずに、普通の歩きをしていると、痛みは徐々に治まっていくようになった。
ひとまず安堵。
1か月ほど、続いた、足のトラブル。
足のトラブルがある人は、階段を上るより、降りるほうが辛いというのを実感した日々だった。
晩年、足が痛いのに、人前では引きずるのを隠していた母。
踊らないようにと間奏を短くされたのに、舞台で、踊った歌手。
目頭があつくなる。