何とも、重い内容の本だった。
最近、「死」というものが、近づいているだろうことを、考える。
今は身内がと呼べる者が3人いる。
一人は、まだ未婚だが独立している。
あとの二人は、定職につけず、にいる。
年を重ねて、片足が棺桶にかかっている気がするようになり、無職になった自分。
働けなくなった自分を時折想像する。
「孤独死」「孤立死」「行倒死亡人」なんて言葉に関心が向く。
人は、社会の中で生きている。
けれども、死ぬときは一人ぽっちかもしれない。
父も、配偶者も、ひっそりと逝った。
母は病院で看護師さんたちに、たぶん看取られたのだろう。
5人家族が今は、4人家族になり、一人、独立して3人同居になった。
自分の最期はどうなるのか、最近気になる。
この本は「無縁」を取り上げていた。
社会で颯爽と日々送っていた人が、一人暮らしをし、隣近所とも友人とも疎遠となる。
「無縁」となって、何日も、発見されずに、亡くなっている。
肉親や身内がいても、「引き取り拒否」だったり、名前さえ判明せずに、「行倒死亡人」となって、官報の片隅に、死亡していた時の簡単な文書が載る。
地方自治体が、処理をして、終わる。
他人事ではないと思うと、一字一句が身につまされる。
人との関係が薄れ、無くなる。
つながりを無くした人は、自殺を考えたり、実行する人もいるそう。
長寿社会と言われている、この時代。
家族や近所付き合い、つながりを無くしてしまうと、無縁となって、ひっそりと死を迎えるしかない。
なにか、とてもやるせない思いになった。
老人だけの話と思いきや、若者にも、予備軍と思える人がいるそう。
こんなに人があふれているのに、こんなに狭い所に、たくさんの人が住んでいるというのに。
無縁社会
NHKスペシャル取材班 編著
文春文庫
ISBN978-4-16-783805-8