都内感染、2週間後には4532人の見通し…「経験したことない爆発的な感染拡大」
2021/07/29 23:01
新型コロナウイルスの感染拡大で、3日連続で新規感染者が過去最多を更新した東京都では、医療体制逼迫(ひっぱく)への懸念が高まっている。東京に隣接する埼玉と千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府には29日、政府が緊急事態宣言を発令する方針を固めた。各地で警戒が強まる。
この日、新たに3865人の感染が確認された東京。1日当たりの感染者は前週比1・6倍のペースで増加している。都の新型コロナのモニタリング(監視)会議では、これと同程度の増加比で感染拡大が続くと、1週間後の週平均の新規感染者は2962人、2週間後には4532人になるとの見通しが示された。国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている」と警鐘を鳴らした。
都医師会の猪口正孝副会長は、感染者の急増で入院調整が翌日以降に繰り越され、自宅待機を余儀なくされるケースが増えていると報告した。都によると、29日時点の入院患者は3039人で、1か月前に比べ倍増。自宅療養者は8477人で、ともに半年前の「第3波」時の水準だ。この日の死者は3人、重症者は前日比1人増の81人だった。
内閣官房のデータでは、28日時点の東京の確保病床使用率は47%だが、重症者用病床では64%に達している。猪口副会長は「余力があるように見えるが、決してそうではない。入院調整が遅れると、必要な医療が届けられず、状況は逼迫してきている」と訴えた。
神奈川県では29日、新たに1164人の感染が判明した。1日当たりの感染者が1000人を超えるのは2日連続で、過去最多を更新。黒岩祐治知事は同日夜、埼玉県の大野元裕知事と千葉県の熊谷俊人知事、西村経済再生相とのテレビ会議出席後、報道陣の取材に「感染者激増で病院の搬送調整も難航し始め、熱中症や他の病気でも病院が受け入れられない状況が間近に迫っている」と危機感をあらわにした。
感染は関西圏でも拡大している。大阪府の29日の新規感染者は932人だった。900人を超えるのは5月11日以来で、1週間前から471人増えた。30歳代以下が全体の67・8%(632人)を占め、60歳以上は5%(47人)にとどまった。