豊洲市場に出荷された“奇形マグロ”の衝撃写真 食の安全性について聞いた
2022/03/12 06:00
(デイリー新潮)
顔面はボコボコ、中身があらわに
最初にお断りしておくと、今回ご紹介するマグロの写真、見て「美味しそう」と思えるものではなくて、かなりの人がグロテスクさにショックを受けるようなものだ。
食事中の方はもちろんのこと、そういう写真が苦手な方は御覧にならないほうがいいだろう。それほどの「奇形」なのである。
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激しく潰れた顔面、皮が剥がれ、筋肉らしきものが露出した腹部。胸びれの脇には、瘤(こぶ)のようなものがボコボコ――。さかなクンじゃなくても、思わずギョギョギョ!と叫んでしまいたくなる風体のこの魚、昨年末、東京の台所・豊洲市場に届けられた養殖のクロマグロなのだ。
豊洲市場関係者が驚く。
「骨折程度はまだいいとして、さすがにここまでの奇形は見たことがない。おそらく年末で、マグロの需要が高まっているから、産地としてはとにかくなんでも送ろうということなんでしょうが、何かの病気ですかね。本当に食べても大丈夫なのか。食の安全が叫ばれる世の中で、こんなものが豊洲にくるとは、信じられない」
魚河岸のプロが不安がるほどの不気味さだが、にもかかわらず、通常の半値近くで競り落とされたという。
「さくにしてしまえば(他の正常な魚と)一緒ですから。気付きようがない」(同)
食べても平気なのか
つまり誰もが、こうした奇形マグロをそうとは知らずに食している可能性があるということだが、健康被害はないのか。そしてそもそも、この怪魚は、いかにして誕生したのか。「国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所」で、まぐろ養殖の研究に携わる担当者に尋ねると、
「食品としての安全性については全く問題ありません。というのもマグロは、他の魚に比べて胸びれが短く、方向転換が苦手。幼魚時にいけすの網に衝突して死亡することも少なくない。この魚もおそらく網に衝突し、頭部と体表を損傷したものの、奇跡的に生き残ったということでしょう」
意外にも(失礼)病気ではなく、生命力の強い“ド根性マグロ”だったというわけだ。見た目にとらわれず、大切な命、丁寧にいただこうではないか――。
「週刊新潮」2022年3月10日号 掲載