リリイ・シュシュのすべて
岩井俊二監督の「傑作」。好きな人は好き、嫌いな人は非常に嫌いな作品かと。
2001年に公開されており、市原隼人 蒼井優らも、さすがに若く幼く感じる。
なんの話かと問われると困る。地方都市の中学生の姿を描いた作品といえばそうなのだが、
ラブロマンスっぽいような内容ではなくて、中学生たちのいじめ、恐喝、万引き、援助交際、レイプ、殺人、自殺など、ある意味「凄惨」な場面が頻出。
見終わった後は、なんともいえぬ不快感がまとわりついたりする。映像がそれぞれ美しいだけに、そのえもいわれぬ不快感はより高まったりする。
以前に書いたコメントは以下。
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岩井監督の最新作がビデオで出ていました。ファンとしては見るしかありません。しかし、ファンというところを割り引いてみても、この作品はなんでしょうか・・・。
見終わったあとの、真綿で首をしめられるような(?)不快感。そして、透明感とやるせなさ。印象に残る象徴的な映像と音楽。
これは中学生の年代の少年、少女の物語なのだろうけれど、うーん、なんとも言えない見終わったあとの感覚です。決して気持ちはよくはない、しかし、今の現実の一側面を強調しデフォルメしつつ純化している、そんな作品です。
全然話がわかんないですね(^_^;)。うまく説明できませんが。同じ時期の少年を描いた作品に「学校Ⅳ」がありますが、なんという違いでしょうか。「学校Ⅳ」が、いわば純朴で率直で気持ちがいいのに対して、リリイはイメージ化され、ひねくれ、わかりにくく、内省的。
ネットの掲示板に「カチカチ」とキーボードの音をたてながら入力されていく文字の様子は、以前のパソ通恋愛映画「ハ・ル」をちょっと想起させるところがありました。 しかし、この岩井の感覚っていうのはなんなんでしょうね。すごい才能。そして独自性。私は評価しますよ。
「四月物語」や「打ち上げ花火・・」などのような軽いものもよいですが、やはの「スワローティル」とかこれなんかが岩井の本領が発揮されている作品だと思います。 映画を見たあとのこういう感覚というのは「ゆきゆきて神軍」を見て以来のものです。久しぶりのAです。
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カタカタとキーボードで入力した文字が表示されるところは、森田芳光監督の 「(ハル)」を連想させるところがある。
見るのは二回目ということもあり、最初に見た時の衝撃や不快感は薄かった。
上記で「今の現実の一側面を強調しデフォルメしつつ純化している」と書いていますが、その印象は今も共通してあります。