高田郁著「銀二貫」幻冬舎時代小説文庫刊 2009年
この作者の小説は初めてである。大阪の寒天問屋が舞台の時代小説。商売に必要な始末(倹約)、才覚、信仰心に加え、暖簾(社会的信用)、筋を通すこと、
生きた金を使うこと、少し可愛気があること、独創性を持つことなどなど、マネジメントに必要な要素が、ふんだんに出てくる。勿論小説なので恋模様も絡んでは来るが。
大阪版本屋大賞の受賞作だそうだが、商売人にはたまらなく共感を呼ぶ本である。百田尚樹の「海賊と呼ばれた男」ほど完璧な姿として描かれておらず、それだけに真実味がある。著者は女性だろうか、男性だろうか。もし女性だトリたらビジネスが相当分かっておられる。
士魂商才、ものづくりのこだわりがここでも生きている。日本の良さがでている。
これは山本周五郎賞をあげてもいいのではないか。
夜が長くなって、空気も澄んできた。この本は眠らせてくれない。一気に一晩で読んでしまった。
次作にも期待したい。