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歴史捜査(操作)

2014-08-19 12:13:54 | 


明智憲三郎「本能寺の変」文芸社文庫 2013年刊

著者は明智光秀の末裔。これは小説ではなくあまねく知られている歴史通説を検証する書である。著者の言を借りるならば「歴史捜査」の書である。

添加の秀才の光秀が癇癪持ちの暴君信長の仕打ちに腹を据えかね、中国討伐のため本能寺に滞在していた信長を討った。
家康はほうほうの体で逃げ帰り(神君伊賀越)其の仇は秀吉が討った。

以上が我々が漠然と描いている本能寺の変であるが、著者は一寸待てと疑問を呈す。
このあらすじは変後秀吉が編纂を命じた「惟任退治記」によりつくられたもので、少なからず勝者に都合の良い筋書きが描かれている、というのが著者の言い分である。

たしかに、450年前の桶狭間の合戦は「小よく大を制す」「油断大敵」の教訓として帝国陸軍が流布したものであることは、郷土史家の地道な努力により明らかになってきています。また米国の原爆投下及び事後処理についてもやっと少しずつ真実が明らかになってきております。
この著者も膨大な関連図書を読み(若干我田引水的なところもなくはないのですが)、戦国武将の行動を解き明かしています。

本能寺の変は家康殺害の舞台を光秀が利用し、家康は其のことを承知していた。光秀謀反は中国にいた秀吉も知っていた。
この著者の見方のほうが壮大な歴史ドラマとして真実味があります。内容を詳しく紹介すると興味が半減しますので述べませんが、明智光秀に関する誤解は解けたように思います。
。暑い夏の読み物として面白いと思いました。お勧めです。