小牧ワイナリー壁の案内表示
壁にかけられている経歴など
展示されている絵の一枚
小牧ワイナリーは障がいのある人が葡萄をつくり、ワインを販売する「ななつぼし葡萄酒工房」と、就職に向けてのトレーニングを行う「ピア小牧」の複合施設だ。以前にこれらの趣旨に賛同して古くから障がい者にも絵画の指導を行っている、画家米山郁夫氏の絵画展を見に行ったことがある。
この施設の2周年記念行事で、「口と足で描く芸術協会」会員の南正文展が行われるとのことで、うららかな春の日に見に行った。南正文氏は小学校3年の時、家業の製材所で機械のベルトに巻き込まれて両腕を失った。14歳の時大石順教尼に師事、口での描写と生き方の修行を始めた人である。
この建物は1階がカフェと物販スペース、2階が絵画展などのイベントスペースになっており、米山画伯の厳しいタッチの絵画が階段の踊場で迎えてくれる。南氏の絵画は日本画でやわらかで優しいタッチの物が多く、なにかほっとするものだ。写真にある桜の大木の絵は、桜の花が一つ一つ丁寧にに描かれており、とても口と足で描かれているとは思えない。
南氏の絵を見る時どうしても、障がいがあることを前提としてみてしまうが、途中で気がついた。そうではなく一枚の絵、芸術として鑑賞せねば作者に失礼だ、ということを。同じフロアーに障がい児達の天真爛漫で元気一杯の絵も展示してあるが、これらもいずれも明るい色調で見ていて楽しくなるものがほとんどだ。
作者は不自由な我が身と周りの人にお世話になりっぱなしの境遇を嘆くのを止め、あるがままの自分を受け入れた時心が軽くなった述べておられるが、この絵には見る人をまさしく癒やすものがある。残念ながら、南氏は2012年12月生涯をを閉じてしまったという。展示されている数々の絵のお陰で、何か幸せな気持ちになり、下のカフェで紅茶を楽しみ、ワインを一本購入して、満足して帰路についた。
今月一杯は展示しているそうです。癒やしの必要な方にはとてもいい絵だと思います。