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北スペインの思い出ーゲルニカ

2014-08-05 15:39:13 | 行ってきました
ようやく気力が戻ってきたので、ぼつぼつ北スペイン、ポルトガルの旅日記を書きます。

 街角の陶板画

ゲルニカと言って普通の人が思い出すのはかのピカソの絵画であろう。

 州議会の建物正面

芸術の国でもあるスペインの不世出の天才画家が描こうとしたのは、バスク地方ビスカヤ県の県都が1937年ナチスによって爆撃された時の怒り、悲しみである。
この地区は代々のビスカヤ伯は、この地区の自治を尊重する誓いを行っていた。

 議場正面
 歴代の自治宣誓者の肖像画

其の誓をしたのが代々のオークの木(ゲルニカの木といわれる)の前でされ、その木はナチスの爆撃の時にも奇跡的にも生き残ったという。今はそれは代替わりをしている。県議会の庭にその木はあり、議場には歴代の宣誓をした伯爵や国王の肖像が飾ってある。外にある木を見てから議場に入ろうとしたら、係員が「まず議場を見てから外の木を見なさい」と案内してくれた。中規模の議場の上にはズラリと肖像画が掲げてあり、其の横の待合スペースの天井ステンドグラスは、珍しく宗教色の薄い見事なものであった。
 待合スペース(旧中庭)のステンドグラス

隣接する図書館も立派なものである。州議会の裏庭に五代目のオークの木(ナラだというが)は立っていた。四代目は記念碑的に前庭に保存されていた。中央部の凹みが歴史を感じさせる。

 現在のゲルニカの木
 先代(四代目)ゲルニカの木
 議場入り口に備えられていた傘カバー装着機(日本製)傘ポン

このバスク地方は、近年独立運動で紛争を起こしているが、歴史的にはこうした自治の気風のあるところであったのだ。
スペイン内戦の際、フランコ反乱軍に加担したドイツ軍の爆撃は無差別場握撃で容赦なく住民を襲った。4月26日の爆劇の一報を聞いたピカソは、パリ万国博覧会のスペイン館で展示される予定の壁画を製作していたが、急きょテーマを変更してゲルニカを題材に取り上げ、油絵よりも乾きが速い工業用ペンキを用いてこの大作を6月初めにに完成したという。

この絵の陶板が州議場から徒歩5分ほど離れた街角に建っている。激しい怒りと悲しみにあふれた修羅場が見事に表現されている。バイクツアーをしているらしい若者が屈託もなく記念撮影をしていた。戦争を知らない年代だ。もう少し画の中身に入っていってくれと叫びたい。
街中はまもなく通過する自転車レースの中継点作りに忙しく、いかにも平和な地方都市の姿であった。